No.005 ページ6
____8月中旬
ﾌﾟﾙﾙﾙﾙﾙｯ
長い間使用されず古びていた携帯が震える
「もしもーし」
『A？久しぶりね元気にしてた？』
「センリツ！久しぶり！」
電話越しから1月半振りの友の声
私は嬉しくなりつい声を張り上げる
「なになに？恋しくなっちゃったの？」
『ふふっ相変わらずで安心したわ
今私採用試験を受けてる最中なの』
「え、そうなの？
てっきりもう働いてるのかと思ってた」
『そう上手くはいかないものよ
Aは今何をしているの？』
「え、あ、あははは」
センリツと別れてから1ヶ月半
特に仕事をしていない
お金にも困っていなければ
今1番聴きたい演奏したい楽譜もない
まぁそれを探すために何かしなきゃ
いけないんだろうけれど
どうも忘れられない1ヶ月前の金髪の人の心音
言い訳に過ぎないが引っかかるのは確かだ
『Aのことだから何もしてないんじゃな
いかって思って連絡してみたけれど、間違っ
てなかったわね』
「...センリツ様には敵いません」
センリツは満足そうに電話越しで微笑んだ
とは言っても友人にここまで心配させるなんて
どれだけ私は信用されてないんだろう
「信じてもらえないかもしれないんだけど
実は1ヶ月前にセンリツと別れた場所ですれ違
った金髪の人の心音が気になって気になって
中々動けなくてですね...」
自分で言ってても思う
なんて苦しい言い訳なんだろうって
嘘ではない
でも幼稚すぎる理由にセンリツも黙ってる
変な汗が額から流れ落ちる
暑さのせいだと思いたい
センリツの返答を待っていた時
想定外の言葉が返ってきた
『珍しいわね1つの音に何ヶ月も囚われるなんて』
「え？」
『だってあなた言ってたじゃない
追いかけても分からない音は追いかけている
うちにその音が分からなくなるから、
音から寄ってくるまで深く探らないって』
「...信じてくれるの？」
『信用しているAだからこそ言うけど
実は言うとその人と同じ職場よ』
そんなこと言ったら顔もバレ、
その金髪の人の立場が危うくなって
情報を漏らしたセンリツさえも
これから動きにくくなるのに
「センリツ大好きよ」
『私もあなたの素直なところ好きよ』
そう言って会話話終了した
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ゆい - めっちゃクラピカがクラピカっぽくて(？)面白いです！すぐに好きになられないのがまたまたいいですね！更新応援してます！！ (2020年5月29日 21時) (
レス) id: 760ae8febb (このIDを非表示/違反報告)
かにかま(プロフ) - はじめまして。魅力的な夢主と読みやすい文章とで、あっという間に読んでしまいました笑 お忙しいとは思いますが、更新応援しています(^^) (2020年5月25日 20時) (レス) id: c18fa87c81 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時：2020年5月8日 15時
