庶務82※ ページ34
｢…石上くん、もし自分が失恋したら、その人とどう接する？｣
｢え!?まあいつもみたいには話せなくなると思うけど…｣
突然の質問だった
｢そっか…
そういうことだよ｣
｢どういうこ…｣
｢好きだよ。石上くん｣
そう言う月永は僕のことを見て離さない
理解が追いつかなかった
｢え…｣
｢ごめんね急に。私イブの夜につばめ先輩に告白してるの聞いて…合わせる顔がなくて避けてた｣
｢あ、う、うん…えっと、その｣
聞かれてたんだ…
｢勿論答えはわかってるから、言わなくていいよ｣
悲しそうな、寂しそうな表情だった
そんな顔しないでくれよ…
｢…ごめん｣
｢言わなくていいって言ったのに、そういうとこ石上くんらしいね｣
へへ、と笑っているのに対し僕はどうしていいか分からなかった
理由を聞くために呼び出したのにまさか告白されるなんて思わないだろ誰も
悪い気はしないけど
｢でもありがとう、僕を好いてくれて｣
｢いいえ。｣
少しの間沈黙が続く
｢あー、なーんか全部伝えたら楽になったかも｣
よいしょと松葉杖を持ち直し始める
｢月永危ない、これ持ってるからゆっくりでいいよ｣
｢あ、ありがと｣
少し不自由ながらも月永は立ち上がり、また僕の方に向き直した
｢石上くん、私諦めないから｣
｢…うん｣
少しはにかんだ彼女は美しかった。
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作者名：ひ x他1人 | 作成日時：2020年6月6日 15時
