庶務75※ ページ27
「ゆーくんは、ミコちゃんとAちゃんのことばっかなんだね」
「Aちゃんは分からないけど…ミコちゃん帰っても一人ぼっちなんでしょ?」
「そうはいきませんよ」
「ふふふわかってるって!」
僕達は月永が出ていったあと、そんな他愛のない会話を繰り広げていた。
「…ゆーくんは、ミコちゃんとAちゃんのどっちが好きなの?」
「へ?」
思わず素っ頓狂な声を出してしまった。そりゃ好きな人に好きな人を聞かれるなんて思ってもみないだろう
「…どっちも好きとかじゃないですよ。ただ伊井野は僕がいないとダメなような気がして」
「そっかー、Aちゃんは?」
「月永は…」
頭に月永の姿を思い浮かべた。
そういえば、髪を下ろしてるの見たのって前に遊んだ時以来か…
今日はメイクも変わってたし、僕が前に言ったベビーパウダーの香水の匂いもした。
それに、月永は必死に僕を庇ってくれてたな
あの時思わず抱きしめたっけ…恥ずかし
「…ゆーくん?」
「あっ!えっと、月永はどちらかというと憧れに近いというか…まあそんな感じです」
咄嗟に出た言葉だった。確かに月永は憧れなのかもしれない
「そっかー、Aちゃんしっかりしてるもんね」
「そうですね」
僕の好きな人は貴方ですよなんて言えない
「ってアレ!?もう終電の時間が…!」
ふと時間を見てみると終電の時間間近だった。
「間に合う?」
「全力で走ればまだ…だけど」
「Aちゃんも帰ってこないし、ミコちゃんがこれだしね…」
結局つばめ先輩と相談してゲストハウスにお泊まりすることになった。いや僕にそんな下心1ミリもなかったけど!?
「つばめ先輩、とりあえず僕月永見てきます。」
「わかった、こんな寒いのに何処にいるんだろ…よろしくね」
お泊まりするのにドキドキしていたが、まずは帰ってこない月永を探すことにした。
一旦つばめ先輩の家を出て、辺りを見回すとベンチに座る月永を見つけた
「月永…?」
彼女は俯いている。髪を下ろしてるから顔が見えないけど…大丈夫だよな?
「ん…石上くん?」
「!よかった、こんな寒いところでいたら風邪ひくよ」
「あ、私つい寝てて…ごめんねすぐ行く」
「もう終電過ぎてるし、先輩泊めてくれるみたいだよ」
「そうなの!?お礼しなきゃ……ねえ石上くん」
月永は僕の名前を呼んだ
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作者名:ひ x他1人 | 作成日時:2020年6月6日 15時