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「この店で待ってて」
フェリーの着いた波止場から、バスに乗って３０分程行くと、景色はぐっと人口の増加を感じる街並みに変わる。
メインストリートに面して、郊外型の超大型スーパーがあったり。
本当に人の数によって、店の数も種類も増えるもんなんだな〜と、改めて感心した。
そして、バスはステーション的なでかい建物に向かい続くロータリーへ、一般道から脇に逸れる。
すると一斉に乗客達は、自分の荷物をまとめだす。
「降りるぞ」
成り行きを見守っている俺に、旭が声を掛けた。
「ん…」
一旦ここで、乗客は全員降りなければならないらしく、ざわざわと出口に向う行列がバスの中央に出来上がっていく。
俺も旭に続き通路に出たはいいが、次々と立ち上がる乗客に阻まれて、あっという間に俺たちの間には数人の隔たりが出来きてしまった。
俺の乗車券は旭が持っていて、俺はここでいくら払えばいいのかも分からない。
そうこうしているうちに、順番がきたらしく、旭は乗車券と回数券らしきものを、その中に放り込むと、
「誠！」
俺を呼んで、手を伸ばした。
俺もそれに向って、精一杯手を伸ばす。
最初、ちょっとだけ当たった指先が、も少し背伸びすると、第二関節まで握りこめた。
すると、旭の顔がにやっといたずらな表情に変わって。
俺の手を握り直すと、思いっきり、引っ張り込んだ。
「うわっ！」
バランスを崩して、前につんのめった俺は、前に並ぶ人らを押し分けて、旭の肩に自慢の形の良い鼻をぶつけた。
「…痛て〜！」
「マジにトロ臭いな。離れんなよ。金、払えないだろう？」
「…そんだけじゃないだろ？ ワザとやったんだろが！ このドＳ！」
嬉しそうな顔しやがって。
「早く来いよ。次のお客さんが、料金握り締めて順番待ってるぜ」
手を握られたまま、バスの歩幅の広い階段をトントンと先に降りられると、自分もまたそれに続くしかない。
「…あ〜さ〜ひ〜。いい加減にしろよ！俺の肩まで外れるわ！手離せよ！」
「ダメ。ちゃんと付いて来ねーから」
それはそうだけど。
俺の手を握り締めた反対側は、思いっきり不便そうに、ぐるぐると薄いギブスと包帯で固定されている。
無理に、手、繋ぐ必要はないと思うんだけどな。
ラッキーアイテム
革ベルト
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wakano(プロフ) - あおみさん» 本当に長〜くなりそうです。世の中ぱっぱとどうにかなってしまう話が、多過ぎるな〜と（私を含め）。なので、時代に逆行しなかなか発展しない話しにしようと、思いまして。こんだけ書いて、やっとドキドキにもってこれました。この続きも、一緒に胸きゅんしましょう！ (2013年9月29日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» もうね、この話は意地でも、ゆっくりと書こうと思います。じんわり、じんわり。多分話的には、半分済んだ位なので、私のスピードで考えると、どうしても冬は越えるでしょう（笑）覚悟してやってください！次もまた遊びに来てやってくださいね！ (2013年9月29日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - 冬になってもこの二人を見守れるんですね。嬉しいです。長〜く読ませて貰えるんですから(^^)誠君のドキドキが私にも伝染して胸キュン（死語ですか？）です。あっちの二人の諍いが誠君の気持ちを変化させた原因ですからね、気になりますね。 (2013年9月29日 10時) (レス) id: 65e0db38aa (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ふふふ、ゆっくりゆっくり変わっていく誠を楽しんでます（はぁと）旭は色々気付いてるからそれも楽しいです☆渉達はどうなるのかな。勿論季節が冬になってもついていきまーすっ♪ (2013年9月29日 9時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、このいけず〜な展開が書きたくて、書きたくて、長々と雷のエピソードを入れたんです。良い損なった何かを、朝日が飲み込む代わりに、誠が少しだけ、旭に対して変わってくれるかな〜？と思ってます。頑張れ、旭！ (2013年9月8日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年8月3日 0時
