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離れようとするのを、制止するように鳴るカミナリに、苦笑が混じるけど。
「うん」
俺の手は旭のシャツを離すことが出来なくて、そのまま小さく頷いた。
すると、旭はその手に自分の手を重ねて外し、下に降ろすと、ぎゅっと握り締めた。
いつもの、俺たちのスタイル。
ぐっと、安心の度合いが深まる。
不思議だよ。
二人しかいない、このほとんど守りのない空間で、旭と手を繋ぐだけで、シェルターにいる様な気持ちになれる。
奏とは、余りに近すぎて、もう一人の自分がいるように思えるけど。
旭は、全く俺とは違うのに、二人でいれば、何倍にも自分の力が、湧きだしてくるような気がしてくるんだ。
「…座ろうぜ」
旭が、ベンチに先に腰を下ろす。
その隣に、ちんまりと座り込んだ。
なんだか、言葉が出てこない。
毎日、毎日、二人でいれば無駄な話ばっかり、いつでもどこでも、してるのに。
でも、だからといって、気まずいわけじゃない。
シェルターの中の空気を、味わっているみたいな、妙だけど、静かな気分。
繋いだ手から、伝わる温み。
その部分の熱との対比のせいか、Ｔシャツ一枚がとっても薄く、湿気た大気が冷たく感じられた。
「…くしゅ」
タイミングよく、隣でくしゃみの声がする。
旭は、俺以上に凍えているはずだ。
濡れたシャツは、まだたっぷりと水気を含んでいて、繋いだほうの逆の手は、自分を抱えるように、体に巻き付けられている。
「…旭、手、離して…」
俺が言うと、素直にその手は外された。
離れた手を、そのまま旭の背中から反対の脇まで伸ばし、その内側にすっぽりと、自分を埋め込む。
「…こうやったら、温かいだろ？」
「でも、誠も濡れるだろ？」
「こっちのほうが、いい」
自分の体も、旭の体温でぬくぬくとして、気持ちいい。
そうなると今度は、俺の腹の奥が、『ぐう』と鳴った。
「はあ〜。そういえば、なんも食ってなかった」
「…俺も。腹減った」
旭がくすりと笑う。
「…ああ、帰って賄いに食らいつきたい」
俺がそう言うと、
「俺は、風呂に入りたい」
「熱いコーヒー飲みたい。こんな真夏なのに」
「ふふ…。マジだな。じゃあ、俺はふかふかの布団で寝たい」
「ほんっとマジだよ。…マジ眠い…」
段々とお互いの体温で、体が気持ちよく重たくなってくる。
「…うん」
頭を旭に凭せ掛けると、徐々に意識は薄れていった。
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wakano(プロフ) - あおみさん» 本当に長〜くなりそうです。世の中ぱっぱとどうにかなってしまう話が、多過ぎるな〜と（私を含め）。なので、時代に逆行しなかなか発展しない話しにしようと、思いまして。こんだけ書いて、やっとドキドキにもってこれました。この続きも、一緒に胸きゅんしましょう！ (2013年9月29日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» もうね、この話は意地でも、ゆっくりと書こうと思います。じんわり、じんわり。多分話的には、半分済んだ位なので、私のスピードで考えると、どうしても冬は越えるでしょう（笑）覚悟してやってください！次もまた遊びに来てやってくださいね！ (2013年9月29日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - 冬になってもこの二人を見守れるんですね。嬉しいです。長〜く読ませて貰えるんですから(^^)誠君のドキドキが私にも伝染して胸キュン（死語ですか？）です。あっちの二人の諍いが誠君の気持ちを変化させた原因ですからね、気になりますね。 (2013年9月29日 10時) (レス) id: 65e0db38aa (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ふふふ、ゆっくりゆっくり変わっていく誠を楽しんでます（はぁと）旭は色々気付いてるからそれも楽しいです☆渉達はどうなるのかな。勿論季節が冬になってもついていきまーすっ♪ (2013年9月29日 9時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、このいけず〜な展開が書きたくて、書きたくて、長々と雷のエピソードを入れたんです。良い損なった何かを、朝日が飲み込む代わりに、誠が少しだけ、旭に対して変わってくれるかな〜？と思ってます。頑張れ、旭！ (2013年9月8日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年8月3日 0時
