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「…怖えーの？ かみなり？」
「……奏と…留守番してたら。目の前の樹に、カミナリが落ちた…」
ザーザーと、雨はその雨脚を強めて、跳ね返りが俺たちの足元まで飛び散った。
叩きつけられるような、大きな音を立てて、『バケツをひっくり返したように』振るとは、よく言ったもんだ。
それに混じったように、ゴロゴロと鳴り続ける暗黒の空は、いつまた怒りの爆弾を落とそうか、チャンスを窺っているようだった。
旭の、沿えるように俺の腰に回された手が、力を込めた事に気がついた。
俺の着ていた薄いＴシャツは、簡単に旭のシャツの雨を吸い、一体化したようにその温もりを伝えた。
濡れていない俺よりも、旭の濡れた肌の方が、熱いような気がした。
「……俺がいるだろ？」
俺も、旭の襟首をぎゅっと握り締める。
「…怖い目、見させて、ごめん。…こんなとこ、来させるような言い方して…ごめん」
「……」
カミナリが怖いのは変わらない。
それでも、歯をクイシバッテ、涙が零れないように頑張っているのは、それだけが原因じゃない。
「…渉と喧嘩して…ごめん。…片付けしてる時、口きかなくってごめん…」
次々と出てくる、旭の謝罪の言葉が、かちこちに固まっていた心を、少しずつ緩める。
「……えっと…。他にまだ何かあったっけ…？」
必死に考えている、その真剣さに、つい、鼻から息が漏れた。
「んふ…」
「あん？」
「……わかった…よ…」
空は相変わらず、不穏な雰囲気を漂わせているけれど、さっきの半分も不安な気持ちはなくなっている。
「…俺が、悪いんだ。自分で分かってる。俺の方こそ…ごめん。びしょびしょになるほど、捜させてごめん。勝手にヒネこびて、逃げ出して、ごめん。……何にも言わなくて…ごめん」
「…じゃあ、あいこだ」
「…うん」
そしてやっと、自分たちががっちりと、抱き合っていることに気が付く。
ぱっと、旭のシャツから手を離すと、旭もするりと、俺に巻き付けた手を外す。
体と体の間に、雨で冷えた空気が入り込んだ。
なんとなく、寂しい気がした。
その途端。
天上のほうで、バリバリドーンという音がして、俺たちは飛び上がり、また、もとの状態に戻る。
お互いに、顔を見合わせる。
「…なんか、帰れそうにないな」
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wakano(プロフ) - あおみさん» 本当に長〜くなりそうです。世の中ぱっぱとどうにかなってしまう話が、多過ぎるな〜と（私を含め）。なので、時代に逆行しなかなか発展しない話しにしようと、思いまして。こんだけ書いて、やっとドキドキにもってこれました。この続きも、一緒に胸きゅんしましょう！ (2013年9月29日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» もうね、この話は意地でも、ゆっくりと書こうと思います。じんわり、じんわり。多分話的には、半分済んだ位なので、私のスピードで考えると、どうしても冬は越えるでしょう（笑）覚悟してやってください！次もまた遊びに来てやってくださいね！ (2013年9月29日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あおみ(プロフ) - 冬になってもこの二人を見守れるんですね。嬉しいです。長〜く読ませて貰えるんですから(^^)誠君のドキドキが私にも伝染して胸キュン（死語ですか？）です。あっちの二人の諍いが誠君の気持ちを変化させた原因ですからね、気になりますね。 (2013年9月29日 10時) (レス) id: 65e0db38aa (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ふふふ、ゆっくりゆっくり変わっていく誠を楽しんでます（はぁと）旭は色々気付いてるからそれも楽しいです☆渉達はどうなるのかな。勿論季節が冬になってもついていきまーすっ♪ (2013年9月29日 9時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、このいけず〜な展開が書きたくて、書きたくて、長々と雷のエピソードを入れたんです。良い損なった何かを、朝日が飲み込む代わりに、誠が少しだけ、旭に対して変わってくれるかな〜？と思ってます。頑張れ、旭！ (2013年9月8日 22時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年8月3日 0時
