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奏の変化に全然気がつかないまま、俺は奏の前でずっと変わらず同じように過ごしていて。
背中にもたれて転寝をして。
手にしているチョコレートを自分の口に押し込んだり。
その度、じゃれあって。肩に腕を回し笑い合って。
―――あの日、押し当てられた唇が『好きだ』と呟くまで。
俺は、奏の隠された苦しい気持ちを、分かってやることが出来なかった。
本当は、ここに来て、いきなり何か答えを出せるとは思っていない。
でも、きっかけが欲しかった。
俺が変われるきっかけが欲しかったんだ。
「昇るぜ…」
真っ直ぐに指差された先、穏やかに寄せる波の上に、まばゆく一本の道が輝きだし、それがどんどんと自分の方に向かってくる。
「…ここの朝日は、この時期さ、自分へと繋がる道を造るんだ。太陽まで歩いていけそうだろ？」
旭が言う言葉が、俺の考えていることの暗示のように思えた。
思い悩む道は二つに分かれているけれど、真実の道は一つしかない。
その道は、直視できないほどの光を放つ太陽へと続いている。
ふらりと、足が気付かぬうちに前に出ていた。
まるで、その先にある朝日に吸い寄せられるように。
―――けれど、俺が立っていたのは、満杯に満ちた海の防波堤だった。
ぐらりと体がバランスを崩し、足元に目が行ったとき、改めて現実を目の当たりにして。
三メートルほど下に見える、波打つ結構深そうな海面。
それが、余計に俺を慌てさせる。
「危ねー！！」
という声がしたのと、俺の足が、焦った結果地面をけるように離れたのはほぼ同時だった。
空中で、体が捻って向くとは無しに後ろを振り返るようになると、素早く追いかけた旭の指が、俺の手を取ろうと伸ばされているのに気が付いて。
俺も必死でその手に捕まろうと、ワンピースのルディになったつもりで、腕を伸ばした。
結果、やっと届いたのはなぜか小指だった。
そんな細く小さいもので、５４ｋｇの体重を受け止めることが出来るはずなく、
『だめだっ！』
と、思った途端に、ズブンとまだ冷たい海水に頭の先まで浸かった。
ヤバイ、息しなきゃ！
必死で足をバタつかせ、水面に浮上しようともがいていると、足が何かを必死に蹴っていて、ふと我に返る。
これはもしや？
気持ちを落ち着かせて、すっくりとその場に足をつけ、頭をざばっと上げると、海面は丁度俺の胸の下くらいだった。
「おい！大丈夫か！？」
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革ベルト
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wakano(プロフ) - むぎさん» むぎさん！いらしてくださってありがとうございます！やっとペースが出来てきた感じですね。エンジン掛かるのが遅いので。今回の話は、そんなに怖くはないと思いますよ〜（笑）可愛い二人を見に来てくださいね！ (2012年7月25日 20時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
むぎ(プロフ) - お邪魔します♪少しずつ近付いてく距離感にドキドキして楽しんでます☆大きめシャツの誠くんの姿に思わず「可愛いっ！」と声を大にして同意です(≧∇≦) (2012年7月25日 8時) (携帯から) (レス) id: 3852c5ec20 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» やっと、緊張の糸が切れたって言うか、ホッとしたんだと思います。同室になって寝食を共にするようになって、まだまだもうちょっと色々ありますが、お互いのことを分かり合ってくれたらいいなと思います。千切りは大きな目標です！ (2012年7月21日 21時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - 羽月さん» 羽月さま初めまして！こんな隅っこまでお目を通していただきありがとうございます！うちの誠を可愛いといっていただき嬉しいかぎりでございますです。二人の関係がなかなか進まないが私の話で、皆さんをヤキモキさせますが、もう暫くお待ち下さいね！ (2012年7月21日 21時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - 人に怪我させてしまったって心を重くした誠くんの優しい心がじんわりと涙を誘います。旭が無言ずっと傍にいてくれて良かったです。旭も優しいですね。千切り頑張れ〜っ。 (2012年7月21日 10時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年6月18日 23時
