永遠に輝けるもの６ ページ6
「…青野さん、来ないって分かっててもドアが開くたんびに、振り向いて確認するね…」
シノに言われ照れくさくなって、グラスに残っていた液体をぐっと飲み干した。
「……声は聞けるんだよ。週に一回電話はしてるし、メールのやり取りもしてるけど、顔は見えないから…つい…」
つい、目が探してしまう。
「…やっぱり会いたいんでしょう？」
「…会いたいよ。それ、たくないって言ったら嘘だよ。やっぱり」
「…だよね」
大場ちゃんをずっと胸に秘めていたシノは、完全な遠距離になってしまった俺たちのことを同情しながら、気にかけている。
「……あんまり離れてるとさ、時々淳の顔忘れそうになる。そうかと思えば、ここに座ってると物凄く鮮明に浮かんでくるし。なんか人の記憶って面白いよね」
「動画とかで話してみるとか？」
「…俺、あれ苦手っていうか、やっぱりね機械通すと人間じゃなく見えちゃうんだよね」
「…へ〜…」
「……説教してやる」
俺らの話しに参加せず、ちびちびとグラスに口をつけていた章くんが、ぼそりと呟いた。
「え？」
「あいつに電話して説教してやる。ふざけんな」
「…淳のこと？」
「…あいつ、出発前に俺に連絡よこしたんだよ。聡くんのこと、自分がいない間はよろしく頼むってさ。こんな風に寂しがってたら、俺はどうしてやるのがベストなんだよ？あいつに説教して、早く帰って来いって言うのが一番早えんじゃねーのかよ」
「…章さん、もしかして酔ってんの？」
シノが恐る恐る言うと、
「…酒飲みに来てんのに、酔っ払って何が悪いんだよ！」
そう言いながら、カウンターに突っ伏してしまった。
「…章さん最悪」
シノの苦々しげなつぶやきを聞きながら、胸の奥が温かくなった。
章くんと、淳がそれなりの信頼関係を築き始めている事。
章くんが淳の意志を引き継いでくれている事が、たまらなく嬉しくなった。
―――淳、俺たちのことを、みんなが見守ってくれてる。
・
酔った章くんを俺が送る事になり、タクシーを捕まえて乗り込む。
暫く走ると、眠っているのかと思った章くんが、思い出したように言った。
「…俺さ。祖父さんのことも一応方がついたし、あの家出ようと思うんだ」
「…そう」
「これから、色々背負わなくちゃいけなくなるのに、自分甘やかしてばっかはダメだろ」
「…そうだね。きっとその方が、章くんは強くなるよ」
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wakano(プロフ) - はじめまして、あすかさん！一年以上昔のしかも、長編といえるお話を書ききったのはこれが初めて、というしろもんですが、読んでいただけて、大変嬉しいです。これは、シリーズ化して、中篇くらいのお話がぼちぼちとあります。まだ、続く予定です！ (2013年10月11日 23時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
あすか(プロフ) - 始めまして。熱で一日中倒れていたのですが、このお話に出会って一日かけて全部読んでしまいました。とても素敵なお話で、OさんとMさん、そしてSさんの心理の描かれ方がとても素晴らしいと思いました。何度か涙しながら読ませて頂きました。感動しました！！(*^o^*) (2013年10月10日 2時) (レス) id: 25cb458627 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - 本当に完結ですよ〜！自分でも初めての長編完結で、なんとも言えない気持ちです。いつも応援してくださって、ありがとうございました！新し物をどうするか考え中ですが、また宜しくお願いします！ (2012年4月2日 6時) (レス) id: f6be20403f (このIDを非表示/違反報告)
あきの - wakanoさん、とうとう完結しましたね〜！おめでとうございます、そしてありがとうございます！本当に素敵なお話でした、幸せな時間をいただきました。淋しいけど、これからもこの２人に光が降り注いでいくのが分かるエンディングで嬉しくなりました。お疲れ様でした！ (2012年4月2日 1時) (携帯から) (レス) id: e942779ebe (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» 華さんのコメントにどれだけ励まされたか！どうにかこうにか書き上げることが出来て、ほっとしています。本当にありがとうございました！ラストのシーンは最初から決めていたので、お話し自体も、被らせる様に今日頑張ってしまいました！ (2012年4月2日 0時) (レス) id: f6be20403f (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2012年3月21日 23時
