�� ページ6
「…ｵｵﾉさんに会えて、よかったな」
「うん。俺も」
続きはお互いに何も言わなかったけど、きっと同じことを考えたのに違いない。
―――きっと、一人だったら、こんなことはなかった。
まだ、ほかほかとしているパンを潰れない様に、そっと抱いて。
おれの心も、ほわほわと温かくなった。
バスを降りた俺たちは、もう既に遅刻している授業を諦めて、学校の中庭にあるベンチに座り、焼き立てのパンを頬張った。
「ｵｵﾉさんは、学校卒業したらどうすんの？」
「俺さ〜。舞台美術やりたいんだよ。だから、一応そっちの方に行きたいと思ってんの」
「食えんの？」
「お前ね。食える食えないの問題じゃないの。やりてーの。先輩のコネでちょっと大きいとこの劇団に口利いてもらってんの。多分バイトやめられねーだろうけど」
「結構、外見に似合わずなこと、したいんだね」
「ｼﾞｭﾝは？」
「俺、建築士」
「ふうん」
「何？その反応？」
「真面目そうなとこ、似合ってる」
「なんだよ、それ…」
何でも無いような関係。
それでも、もうそこは俺にとっての指定席で。
いつのまにか、ｼﾞｭﾝの隣が一番、俺がいて当たり前の場所になっていた。
いきなり、その日はやって来て。
人生の中で、一度や二度、そんなことは起こるものなのかもしれないけど。
なにも、こんなタイミングで、こんなことになんなくてもいいじゃん。
好きなことは、いっぱいある。
焼き立ての、パンの匂い。
思ったものを、分かりやすく形に変えていく、作業。
学食のうどん。
朝起きて、遅れそうになりながら、乗り込んだバスで、俺を向かえる『おはよう』。
ｼﾞｭﾝの笑顔。
何の条件も無く、何か一つを選べって言われたら、俺はどれを選ぶのだろうか。
何を一番失くしたくないんだろうか。
一晩中、眠れないまま、そんなことばっかり考えた。
こんなこと、思っている場合じゃない。
何度も、何度も言い聞かせて、明日の朝の準備をまとめて。
電気を消して、布団に潜り込んで。
そこで浮かんでくるものを、振り払うようにぎゅっと目を瞑り。
そして、余計に頭の芯は冴える。
頭の中に浮かぶ笑顔は、どれだけ見えないように目を覆ったとしても、決して消えてはくれない。
カーテンの向こう側が、薄っすらと明るく染まっていくのを、ずっと見ていた。
ラッキーアイテム
革ベルト
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wakano(プロフ) - 大宮sk♪さん» はじめまして！ポロっポロとしか書けないので、また見かけたらで、結構です。応援よろしくお願いします！ (2013年10月9日 8時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 面白かったです！！応援していきたいですｗ (2013年10月9日 0時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» あ、全然気にしませんし、何の問題もないでしょう（笑）同居です！間借りですよ！シェアハウスですってことで、万事ＯＫ（笑） (2013年10月7日 23時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ぎゃーっ!!オブラードに包んだ物を聞いちゃダメですよねーっ！ばかな自分にがーん。もし不都合があれば（フラグとか色々）お手数ですがコメント消して下さい（ｱｾｱｾ）消されても*華*は構いませんので〜。や〜ん本当すいませんっ (2013年10月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、お察しのとおりでございます。もうそのまま、ｼﾞｭﾝさんのお部屋に転がり込みました。一応、フラグを立てない予定のお話だったので、やんわりと、オブラートに包んだ次第です。離れていた分、離れられなくなったってやつでしょうか？ (2013年10月7日 21時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2013年10月6日 13時
