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また隣から手が伸び、箸立ての横の七味に向かう。
俺寄りにある、それを先に取り、さっきのお返しとばかりに手渡す。
「…はい」
「ありがと」
今度は、逆にお礼を言われて。
たったそれだけで、俺は３年温め続けた居場所を、なんとなく譲っても良い気持ちになった。
やっぱり、単純な俺。
そんな俺に対してか、ただ単に独り言なのか。
「……なんで、空いてる席が一杯あんのに、いっつも立ってんのか、分かんなかった」
どんぶりに残る汁を全部飲み干したあと、おもむろに隣はそんなことを言い出した。
「…え？」
「バスで…。俺が座ってる席の斜め後ろに、立ってるだろ。この人なんなんだろ…って思ってたんだ…」
「…俺のこと知ってんの？」
「知ってるも何も。そろそろバスの常連位は、覚えるよ。もう、３ヶ月だし」
「そっか」
「さっき言ってただろ。『俺の指定席』あれで、なんとなく分かった」
「……」
「俺があそこに座りだすまで、ずっと、あの席あんたの定位置だったわけだ。そうだろ？」
「…うん」
「それで、俺に取られちゃったから、腹立ててずっと俺の横に、立ち続けてるんだ」
「……うん」
「いい加減、他の席に座りなよ。こえーよ」
「…お前こそ、事情が分かったんだったら、あの席俺に返せよ。あそこは俺がずっと３年間座り続けた席なんだよ。お前まだ、３ヶ月だろ？単位が違うんだよ、単位が！」
なんだか、良い気持ちに変わりかけてたのが、徐々に逆回転を始める。
「嫌だよ。なんで、そんなにこだわるの？訳わかんね」
どうやら、隣も意地になりつつあるようだ。
「分かったよ。じゃあ、明日の朝、教えてやる」
もう一度、睨み合ってから、俺たちは立ち上がり。
それでも、同じ方向に並んで歩き、食器を返却した。
翌日、バスに乗り込むと。
約束通り奴は座っていて、それでも俺に向かい。
「…おはよう」
と、声を掛けてきた。
相変わらすどっかりと座っている態度を見て、ちょっとばかしむかつきながら、
「おはよう…ス」
を返す。
すると、奴は体を少しばかり窓側にずらし、一人で占領していた二人掛けのシートの、正しい位置に座り直し、空いた場所を指差す。
俺はここ数ヶ月、いつもしてきたように、その斜め横のつり革に掴まりながら。
「…俺、窓際」
と言った。
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wakano(プロフ) - 大宮sk♪さん» はじめまして！ポロっポロとしか書けないので、また見かけたらで、結構です。応援よろしくお願いします！ (2013年10月9日 8時) (
レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
大宮sk♪(プロフ) - 面白かったです！！応援していきたいですｗ (2013年10月9日 0時) (レス) id: e3e9052229 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» あ、全然気にしませんし、何の問題もないでしょう（笑）同居です！間借りですよ！シェアハウスですってことで、万事ＯＫ（笑） (2013年10月7日 23時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
＊華＊(プロフ) - ぎゃーっ!!オブラードに包んだ物を聞いちゃダメですよねーっ！ばかな自分にがーん。もし不都合があれば（フラグとか色々）お手数ですがコメント消して下さい（ｱｾｱｾ）消されても*華*は構いませんので〜。や〜ん本当すいませんっ (2013年10月7日 22時) (携帯から) (レス) id: 27604c18e7 (このIDを非表示/違反報告)
wakano(プロフ) - ＊華＊さん» はい、お察しのとおりでございます。もうそのまま、ｼﾞｭﾝさんのお部屋に転がり込みました。一応、フラグを立てない予定のお話だったので、やんわりと、オブラートに包んだ次第です。離れていた分、離れられなくなったってやつでしょうか？ (2013年10月7日 21時) (レス) id: 079ef5676a (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：wakano | 作者ホームページ：http://wakano.blog.fc2.com/
作成日時：2013年10月6日 13時
