第41話 ページ43
桜乃side
朝からドキドキが止まらなかった。
今日だ。今日で決まっちゃう。
ぐるぐると頭の中を勝たなくちゃって自分の声が響いてる。
朝ごはんを時間をかけて体に詰めて、重い足で靴を履いた。
「行ってきます」
ラケットバッグを背負い直し、玄関から外に出る。
私の気持ちと裏腹に照りつける日差しが痛かった。
どんどんと暗くなる私の気持ち。
そんな私の耳に、スマホの着信音が入る。静かな空間に私のスマホの着信音だけが響いてた。
画面には東さんの名前。
驚きでスマホを落としそうになったけれど、しっかり持ち直して慌てて電話に出る。
「もっ、もしもし?」
『おはよう、桜乃ちゃん。緊張でガタガタしてねぇか?』
明るい東さんの声にスッと胸が軽くなる。
さっきまでぐるぐると響いてた声が薄れていった。
『俺と練習したテニスをすりゃあいい。
一ヶ月みっちり付きっきりで俺が教え込んだテニスだ。自信持てよ、な?』
「はい……、はい!」
途端に足が軽くなった。
東さんは凄い、魔法使いみたい!
学校に向かう足取りはとても軽くて、少しだけ早足になる。
『良い返事だ。
桜乃ちゃんなら大丈夫。ぶちかましてこい!』
東さんとの電話を切り、気付けばもう学校に着いていた。
女子テニス部のコートへ向かう為に男子テニス部が使うコートの前を通れば、休日にも関わらず応援している女の子が多い。
女の子たちの隙間からちらりと虎谷先輩が見えた。
不二先輩と大石先輩と仲良く話す姿は絵になっていて、改めてどうしてあんな綺麗な人に嫌われちゃったんだろうって小さなもやもやが胸に現れる。
リョーマくんの姿は見つけられなかったけれど、東さんが言ってくれた言葉を繰り返しながら女子テニス部のコートへと急いだ。
この時、虎谷先輩が私を見ていた事に気付かずに。
女子テニス部のコートへ足を踏み入れると視線が痛いほど私に集まるのがわかる。
「トーナメント表を配ります。
書かれた場所のコートに移動して、各自試合を始めるように」
部長の声と渡されたトーナメント表を見て、私は驚愕する。
私の名前が書かれたブロックには一年生が私以外に誰もいなくて。その代わり、次期レギュラー候補の二年生の先輩達と虎谷先輩と仲の良い三年生のレギュラーの先輩、そして如月副部長の名前があった。
トーナメント表を強く握って紙に皺が出来る。
『勝てない』そんな言葉が過った。
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バンビ(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます。更新がゆっくりになってしまっていますが、続編をポチポチと作成していますのでそちらも続けて読んでいただけるように頑張らせて頂きます。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
猫好き(プロフ) - とても面白いです!続きが楽しみなので、これからも更新頑張ってください! (2020年9月3日 18時) (レス) id: 9581fd09d5 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - わんにゃんさん» ありがとうございます。中々更新できず申し訳ありません!!できるだけ早く更新できるよう頑張らせて頂きます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
わんにゃん - とても面白くてこの作品大好きで応援しています!頑張ってください、楽しみにまってます!! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 6ebda506cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年1月2日 17時