第31話 ページ33
桜乃side
「じゃあ、俺と1ヶ月間練習するか」
その言葉をさらっと言ってのけた東さんは、私の手を取ってバイクに乗せてテニスコートまで連れて来てくれた。
・
・
・
・
・
・
部長に言われて、テニスコートを出てすぐに私はあの喫茶店に足を運んでいた、東さんがいるような気がしたから。私はあの人を頼ってるんだと思う。
いつに間にか走っていたのか、喫茶店の近くに着いた頃には息が切れていた。
こっそり窓ガラスから喫茶店を覗き込めば、煙草を吸いながらコーヒーを片手に寛いでいる彼を見つけ、初めてみる姿に心臓が高鳴ったのはきっと息が切れていたからだと思う。
私が現れた事に驚いていたけれど今日あった拙い話を聞いた東さんは昨日まで一緒にテニスをしていたテニスコートまで連れ出してくれた。
3日間で少しだけ上達した私は、東さんとラリーが続けられるようになった。勿論、東さんが手加減をしてくれているからだけど。
「私、部活に出られないって思っても対して悲しくなかったんです。
だって、東さんとこうしてテニスをしている時の方がずっと、ずっと楽しいから!」
お互いに制服姿でのテニスだけど、私はとても楽しかったし、東さんも今までとは少しだけ違う笑顔でラケットを振っていた。
主人公side
3連休めっちゃ充実してた。
喫茶店で煙草吸いながら昨日までの事を思い出す。
桜乃ちゃんの成長に何故かあのババァの顔が浮かんでくるが。
「あんなに楽しかったのはいつ振りだろうな」
煙草を咥え、考えてみるも楽しかった思い出は数える程なく少ない。
桜乃ちゃんが下手でも呆れずに付き合っていられたのは惚れた弱みであって。ああ、これが恋か、なんて耽ってしまう。
桜乃ちゃんのことを考えれば考える程、会いたい気持ちが溢れる。
しかし、今のところ俺はスマートの桜乃ちゃんの前で振る舞えている筈。これで今日も、とか俺から誘うのは些かスマートではない気が、あと恥ずかしさもある。
悶々と、考えている時。
いきなり目の前に本物が現れ、思わず変な声を出してしまったのは恥ずかしい失態だ。

38人がお気に入り

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
バンビ(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます。更新がゆっくりになってしまっていますが、続編をポチポチと作成していますのでそちらも続けて読んでいただけるように頑張らせて頂きます。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
猫好き(プロフ) - とても面白いです!続きが楽しみなので、これからも更新頑張ってください! (2020年9月3日 18時) (レス) id: 9581fd09d5 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - わんにゃんさん» ありがとうございます。中々更新できず申し訳ありません!!できるだけ早く更新できるよう頑張らせて頂きます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
わんにゃん - とても面白くてこの作品大好きで応援しています!頑張ってください、楽しみにまってます!! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 6ebda506cf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:バンビ | 作成日時:2020年1月2日 17時