第25話 ページ27
主人公side
思っていたより桜乃ちゃんはテニスが下手だった。
空振って転ぶ。サーブはヘロヘロ。リターンはネットを越えない。とまぁ諸々のダメな点を挙げ出したらキリが無ぇくらい。
こりゃ、相当な努力が必要だな。
「いいか?
まずはボールを打つ時、目を瞑らない。ちゃんと見てねぇから空振っちまう」
「反射的に瞑っちゃうんです……っ!」
「多分そりゃ、ボールの速さに目が慣れてない。後は、ボールを受け慣れてない」
テニスになんか別に才能なんて必要ない。
桜乃ちゃんに才能があるかないかで言ったら分からない。初心者なんて、誰でもそんなもんだ。
上手い奴に教えて貰えりゃ誰だってそれなりに出来るようになる。
「桜乃ちゃん、コートの中央に立ってな。
俺が打つサーブを、目で追いかける事だけに集中すれば良い。そうすりゃ、嫌でも慣れる」
「は、はい!」
桜乃ちゃんがコートの中央に立ったのを確認し、ボールを数回バウンドさせた。
最初だから、そんなに速くないサーブを打とう。徐々に速くしていく方が、慣れるのがはやい。
ボールを高く上げ、桜乃ちゃんの横スレスレを通るようサーブを打ち込んだ。
「今のはどうだ?目で追いかけられたか?」
「目、瞑っちゃいました……」
「ぜってぇ当てねぇから、瞑らずに見とけ!」
「は、はひ!?」
何回か繰り返す事によって、桜乃ちゃんは目を瞑らずにボールを見れる様になったし、ある程度の速さまでだったら目で追える様になった。
「次は、体の力の入れ方。
腕にばっか力を入れたって、強い打球は打てねぇ」
「そうなんですか?」
「流れる様に力を入れるのがコツだ。体を捻り、そのままの流れで打つ。そうすりゃ割と軽い力でもボールは飛んでく」
桜乃ちゃんの後ろから手首と腰を支え、打ち方の流れを教えていく。
実際にボールを俺と一緒にだが打つとちゃんとネットを越える様になる。
「すごい!」
「次はひとりでやってみろ、多分出来っから」
素直に教えた通りにやる桜乃ちゃんが打つボールはすぐにネットを越え、ヘロヘロボールでは無くなり、普通の打球に進化する。
「東さんのお陰で、私だいぶマシになったと思います!」
普通なら、まだダメダメで、努力は沢山必要なレベル。それでも出来て嬉しいと笑う桜乃ちゃんはとても輝いて見えた。
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バンビ(プロフ) - 猫好きさん» ありがとうございます。更新がゆっくりになってしまっていますが、続編をポチポチと作成していますのでそちらも続けて読んでいただけるように頑張らせて頂きます。 (2020年9月4日 0時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
猫好き(プロフ) - とても面白いです!続きが楽しみなので、これからも更新頑張ってください! (2020年9月3日 18時) (レス) id: 9581fd09d5 (このIDを非表示/違反報告)
バンビ(プロフ) - わんにゃんさん» ありがとうございます。中々更新できず申し訳ありません!!できるだけ早く更新できるよう頑張らせて頂きます。 (2020年7月2日 21時) (レス) id: ff777945fb (このIDを非表示/違反報告)
わんにゃん - とても面白くてこの作品大好きで応援しています!頑張ってください、楽しみにまってます!! (2020年6月30日 18時) (レス) id: 6ebda506cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:バンビ | 作成日時:2020年1月2日 17時