【ONEPIECE】森の精霊美女と死の外科医 (ページ44)

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＊四十三霊＊～ただ嫌われたくて～ページ44

ロー「………それで、さっきの言葉はどういう意味だ？」

トラさんが不意に真剣な声にそう言うから、私も冷静になった。

A「……聞いていたのなら、分かるでしょう？

……私はここに残るわ、貴方達は何時でも出航して良いの」

ロー「…条件と違うじゃねェか」

A「ええ…でも私は、“条件を守れる”と約束していない。それに記憶喪失の私と一緒に居れば、いつかきっと重荷になるわよ？

私はまだ貴方達の事を信用してなかったから、お互い良かったんじゃないかしら？」

その言葉を聞いたトラさんの眉間には、深く皺が寄っていた。

「それで良いの」と、心で思う私はどこか冷めていた。
でも、「本当にこれで良いの？」と問い掛けてくる私もいた。

ロー「……てめェは、俺が嫌いか」

A「…………ええ、嫌いよ」

ズキリと締め付けてくる痛みに耐えながら、私は言葉を続けた。

A「だって、あんな事されたのよ？私だって…嘘くらい、付きたくなるわよ…

……もう良いかしら？私、そろそろ戻らなくちゃ」

その場に居るのが耐えられなくて、早く逃げたくて…私は立ち去ろうとした。

ロー「っ…待て」

トラさんに腕を掴まれ、逃げ場は閉ざされた。

A「……何よ、放して」

彼の顔を見ず、泣くのを堪えながら私はそう言う。

ロー「まだ話は終わってねェ」

腕を掴んでいるトラさんの手に、少しだけ力が入るのを感じた。

ロー「……てめェは、俺の昔の話を聞いて泣いてくれたよな？」

A「…？ええ、それがどうし

ロー「なら、あれも嘘だったと言いてえのか？お前は…」

A「っ…！！」

私は、言葉を失った。

トラさんの声色が、寂しそうで…苦しそうで。

………それでも…私は…っ。

A「……ええ…っ、そう……あれも全部、嘘よ…」

私は、“嫌われる”事をやめなかった。

沈黙が風と一緒に流れてきて、森が慌ただしくざわめく。

私の心も、この森みたいにざわめいた。

そして、この風とともに……

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私も、消えてしまいたかった――……。