【ONEPIECE】森の精霊美女と死の外科医 (ページ43)

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＊四十二霊＊～私の選んだ選択肢～ページ43

小鳥のさえずりに目が覚めた私は今、キッチンにいる。

A「今日は……シチューで良いかしら」

私は基本、料理は好きな方だ。だから、面倒なシチューでさえも簡単に思えてしまう。

果たしてトラさん達は、美味しいと言ってくれるのだろうか。
数十分後、トラさん達が起きてきてシチューを全員の前に置く。

そして、トラさん達が一口食べて約数秒。

ペ/シ「美味えぇっ！！」

ベポ「美味しい！！」

私にとって嬉しい言葉が聞こえ、幸せな気持ちでいっぱいになった。

ロー「……」

何も言わず黙々と食べるトラさんに、私は言葉を投げてみる。

A「トラさん、美味しい？」

ロー「……あァ」

素っ気なかったけど、私には褒め言葉として受け止められた。

A「ふふっ、それは嬉しいお言葉ね」

そんなトラさん達との、何気ない時間。

A「(…でも…この空間に居られるのも、今日で最後なのよね…)」

今日が約束の日の一週間後。長いような、短いような時間が経った。

彼らと一週間だけ一緒に居たけれど、こんなにも人を許せたのは初めてだ。
確かに、トラさんには酷い事をされた。でも、それも今では大切な思い出。

今、私は…二つの分かれ道に立たされている。

この森と別れて、彼らと共に海に出るか。

それとも…

自分だけここに残り、彼らを出航させるか。

私は………後者を選んだ。

私は彼らに会えて、とても幸せだった。

けれど、それを欲しがってはいけない。私はここの、主なのだから。
だからせめて……笑顔で、涙を見せぬように…見送りたい。

それが、私の選んだ選択肢。

だから、あとわずかしかないこの時間で……最高の思い出を作ろう。

A「……はぁっ…」

私は、あのお気に入りのにいる。後片付けは、精霊達がやってくれるとかで。

今日の天気は快晴、雲一つない青空。正に絶好の出航日だ。

A「私、ちゃんと送り出せるかしら…」

そうボソリと呟いた。その刹那

ロー「どういう意味だ？」

A「きゃあっ！？」

いきなり頭上から降ってきた声に私は驚いて、無意識に転がっていた。
すると遠くから聞こえてきたのは、彼の声を抑える笑い声。

ロー「驚き過ぎだろ…っ、何で転がるんだよ」

A「……ッ、あはははっ！！私も分かんないわっ！！あははっ！！」

私も、彼と一緒に大笑いをする。それだけでも心が温まった。
好きな人と居るだけで、こんなにも変わるものなのね。人って…。