【ONEPIECE】森の精霊美女と死の外科医 (ページ39)

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＊三十八霊＊～復讐と復讐の交差～ページ39

あれから、どれくらいの時間が経っただろう。
ライナーが飛ばす矢が、森のあちこちに刺さっている。

レイ「ほらほら、逃げないと蜂の巣になっちゃうよ！？」

A「はあっ！はあっ！はあっ！」

ロー「はぁっ…！はぁっ…はぁっ…！」

A「っ！水の部屋(water room)！！」

私はトラさん達が入るくらいの大きさで、能力を発動させる。

レイ「能力を使うの？なら、あたしも！」

ライナーは背中に背負ってある矢筒(やづつ)から、矢を数本取り出し引っ掛ける。

レイ「ゆらりゆらりと揺るる蛍火よ、どうか今のみ私の腕の中で眠りたまへ」

矢の先が炎を纏う。そして、私達の声は同時に森に響いた。

A「壁氷(ice wall)！」
レイ「火炎連射(かえんれんしゃ)！」

ドォォォンッ！！

激しい爆風で私達は吹き飛ばされるが、すぐに体勢を立て直す。

レイ「っ……へぇ、強いんだね…てっきり何も出来ないか弱いかと」

A「っ、悪かったわね！というか、何で私を狙うのよ！貴方達の事情は知らないけれど、こっちは良い迷惑よ！」

ライ「そういう問題じゃない、のっ！」

そう言いながら、炎の矢を射つライナー。
その矢から避けながら、私は彼女と会話する。

A「じゃあ何だって言うの！私は貴方達と関係無い筈よ！？」

レイ「…それが“ある”…そう言ったら？」

A「そんな訳ないでしょ！？私と貴女達は初対面よ！！」

レイ「……あはっ…意地っ張りなのは、昔から変わって無いね？」

パチンと彼女が指を鳴らすと、炎を纏った矢が私に向かって飛んできた。

A「っ！だから、何で私に向かって飛ばしてくるの！！ムカつくわね！！」

レイ「言ったじゃん…“復讐”だって…」

A「！！……そう…っ、だったら…っ！」

私は逃げていた足を止め、空に手を伸ばす。

A「四大の水の精霊ぞ。今しがた、汝のお力を我に貸したまへ

来たれ、水の精霊(ウンディーネ)」

そう唱えると、「承知した」という凛とした声が耳に届いた。
私は手に力が宿るのを感じると、その手を矢に向ける。

その刹那、炎の矢は水の塊に吸い込まれ粉々に砕かれた。

レイ「！？そんな…っ！！」

A「私も…姉様の“復讐”をしなきゃ…」

私は、姉様を殺した彼女が許せなかった。
そして記憶を失ってから、ずっと疑問だった。

A「……ずっと、疑問に思ってたの…」

レイ「…？」

A「貴女はどうして、姉様を…

殺したの？」