【ONEPIECE】森の精霊美女と死の外科医 (ページ33)

今日:22 hit、昨日:4 hit、合計:92,352 hit

＊三十二霊＊～綺麗な笑顔～ページ33

～ローside～

レイナベル屋は机にあるノートとペンを持ち、何かを書き始めた。

A《患者って、どうして私がそうなのよ！！》

「あァ、そういうことか」そう思ったおれは、こいつの質問に答える。

ロー「おれは医者だ。怪我してる奴に手当てしねェ理由があるか？」

A《……そういえば貴方、お医者さんだったわね…》

ロー「そういう事だ」

レイナベル屋はノートを持ったまま、深い溜め息を吐く。
疑ってはいたが本当に声が出ないと確信し、おれも溜め息を吐(つ)いた。

ロー「…取り敢えず、傷口が見えるようにしろ。全部脱げとは言わねェよ」

おれはそう言えば、まだ納得のいかない表情(かお)でおれを睨む。
だが暫くすると覚悟を決めたようで、血だらけの傷口が露わになる。

の、だが……

ロー「……おい…もっと近寄れ、包帯巻く所か取る事さえも出来ねェぞ」

A「……っ？」

そう言い、レイナベル屋の腕を引くと自分の膝に座らせた。

ロー「包帯取るぞ」

困惑しているこいつに構わず、おれは慣れた手付きで包帯を取る。
あまりされたことが無いのか、これでもかという程に真っ赤になる頬。

軽く手当てと止血を行い、救急箱から真新しい包帯を取り出した。

ロー「キツかったら何かしろ」

A「………」ｺｸﾝ

こいつが頷くのを確認してから、おれは包帯を巻き始める。

巻いていれば、こいつの体が強張っていることに気付いた。
耳まで赤くなるレイナベル屋を、何故か…“可愛い”と思ってしまった。

ロー「………ほらよ、終わった」

おれは本音を隠すように、レイナベル屋にそう伝える。
レイナベル屋は終わったことに気付くと、ノートに短くこう書いた。

A《ありがとう》

言われ慣れていない言葉に、黙ったままこいつの髪を乱暴に撫でる。

そしてレイナベル屋を置いて、部屋から出た。

“A《ありがとう》”

ロー「っ……//」

そう書いた後のあいつの笑顔が、“綺麗だった”…なんて、言える訳がなかった。