90. 引きずる音・Doraco ページ40
Aは、僕の後ろを見てものすごく震えていた
ﾄﾞﾗ「……僕の後ろに、何かいるのか？」
『振り向いちゃダメ！！！』
そう言ってAは、僕の頭を自分の腕で包んだ
焦っていたのか、意識しているのか分からないが、Aの胸に顔を押し付けられるこっちの身にもなってほしい
ﾄﾞﾗ「く、苦しいぞ、！」
『お願い、じっとしてて、』
Aの鼓動がよく聞こえる。僕を抱きしめる手も少し震えている気がする。僕の後ろになにがいるんだ、Aは何に怯えているんだ、
『ドラコ、このまま座って、』
ﾄﾞﾗ「…わかった、」
『ん、ありがとう』
何かが僕の後ろをズルズルと引きずっている。なんの音だ、人じゃない、何かだ、その音は僕の後ろ、そしてAの前でピタリと止まった
Aはずっと俯いていた顔を、正面へともっていった。そして、僕を抱きしめる力が強くなった
『……あっちへ、行け、』
ﾄﾞﾗ「えっ、？」
『……この人はスリザリンの生徒、お前が殺したい相手じゃないだろ、？』
ﾄﾞﾗ「…A、？」
床をズルズルと引きずる音がどんどん遠くなっていく。Aは僕の後ろにいた奴と会話していたのか
『ドラコ、ごめんね、もう少しこのままでいて、』
ﾄﾞﾗ「何があったんだ、」
『はは、ちょっと、無理しちゃったかな、』
僕はAの背中に手を置いた
ﾄﾞﾗ「熱っ、」
『……あんまり、触らないで、傷が痛むから、』
Aの背中の服は焼け焦げ、血が出ていた。Aが言っていたのは、この蛇の形をした傷なのか
『ドラコには見られちゃった、私の秘密、笑』
ﾄﾞﾗ「なんだこれ、」
『ねぇドラコ、私の瞳を見て、真っ赤でしょ、？』
Aの瞳はまた赤く染っていた。
『何も見えないの、ドラコが今どんな顔してるのかも、私が今どうなってるかも、』
ﾄﾞﾗ「背中の傷、」
『怖いよね、蛇の形してるんだよ、まるで私が死喰い人だって言われてるみたいに、』
ﾄﾞﾗ「何でずっと黙ってたんだ、」
『……それより、早く寮へ戻って、またバジリスクが戻ってきちゃう、』
ﾄﾞﾗ「Aを医務室まで連れていく、」
『ダメ、ハーマイオニーを助けられなかったの、だからドラコだけでも助けさせて、』
ﾄﾞﾗ「嫌だ、」
『お願い、』
ﾄﾞﾗ「……A、服脱がせるぞ、」
『え、？』
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作者名：ｷｸﾗｹﾞ | 作成日時：2021年12月24日 1時
