先生はピエロ、私達は能力者！？【小説】

第8話『私達の力【姫野ひまり】』 ページ8

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「…はい、これで全員ですね」


仮面をつけた謎の先生、ピエロ先生が音を立てて黒い出席簿を教卓に置く。


私達０組に落ちた生徒は、何が何か分からないままただ、自分の名前が呼ばれたら返事をするという事務的な行為を繰り返していた。


「え、えっと、ピエロ先生…？」

「はい、何ですか？姫野さん」

「その、先生は、何しに来たの？」


たぶん、このクラス全員が思っていること。


宙に浮く仮面をつけた謎の男が担任だなんて、聞いたことも見たこともない。


私が演じてきたアニメの中にも、そんなのなかったよ。


だから理由がききたかったのに、先生が教えてくれたのは全く別のことだった。


「あなた達は、能力を知っていますか？」

「能力？」


誰かが訊き返した。


「そうです。あなた達には常人には備わることのない超常能力を持っています。…例えばあなた、姫野さん」

「…え、私！？」


思わずガタッと立ち上がってしまった。そのせいで机に脛をぶつけ、抱え込んだ拍子に頭を机の角に思い切り当て、痛みに耐えかねて床に崩れ落ちる。


そんな私のバカな光景を、隣の子は哀れみの目で見ていた。


無理、痛い……痛すぎるよ……どんだけ不運なの私……？


先生はそんな私を見ながら、「そうですそれです」と指を立てた。


「それって？」

「姫野さんの今の動きです。姫野さん、あなた運が悪いでしょう？」

「は、はい。小５のときからなんか…」

「ずばり、それが能力です」

「え！？」


全員の声と心が揃った。


え、だって私の不幸気質が能力って…え！？


「それはたぶん人の不幸を吸い取る能力、だから姫野さんは不幸気質なのでしょう。まあ、姫野さんには他にも能力はあると思いますが」


痛みはまだ引かない……さっき立ち上がろうとしたらまた頭をぶつけた。


ピエロ先生の言うことを、私は信じられなかった。

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