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「…………なんや、ここ」
口が勝手に、アホみたいな呟きを零してしまう。
入口から物凄かったもんやから、あんまり頭が働いていない。反対に、目は忙しなく動き続ける。
解説のボードの先頭には“書籍題名”と掲げられ、目にしたことがあるような名が紹介されている。
――此処は、端的に言えば“美術館”だった。
しかし、大衆が想像するような、静かな空間に只管絵が飾ってあるものではなく、有名な文学作品の世界観を歩いて体感できるというのが売りらしい。
その売り文句だけだと、関西人の性も相まって、若干胡散臭いと思ってしまうところ。
せやけど実際来てみたら、そのクオリティの高さに暫く言葉を奪われてしまった。
「……こういうの、楽しい?」
「この時点で楽しすぎるわ。すっごいな、ここ。」
他愛ない話をしながら歩いていたら、なんや高級そうなデパートに入られて一瞬焦ったけど、まさか最上階にこんなものがあるなんて。やっぱ東京はえらいとこや。
「にしても文学の都美術館って、字面だけやとちょっとビビるなぁ。
自分、本好きなんや?」
「う〜ん? 好きだけどね。もっと好きな人が周りに多いから、豪語はできないな。
今まで通り過ぎた展示のも、半分くらいわからないし。」
「んん〜、なるほどな。確かに、文学少女って感じではないなぁ」
「あはは、寧ろ全然縁がない方の言葉だよ。
白石くんは……洋書とか読みそう。あとはスポーツ選手の自伝とか」
「あー。確かに、後のは結構読むで。洋書は……うーん……まあ、邦書もそないに読まんけど」
「あんまり読書しない?」
「そう言われると、せやなぁ。でも、此処はごっつ楽しいわ。」
――それは、単にここが物凄く綺麗な場所だから、だけやろうか?
今度はちゃんと、口に出す前に、それがあざとい問いだと押し留めた。
仄暗い中で、鮮やかな
どちらが先に行くでもなく、同じ歩調で、隣り合って歩く。
それがちょっと良い雰囲気やと思えても、そう、基本が大事や。
急接近を図って、そんで照れてくれるならええけど、困惑させたらこの瞬間が台無しで……――
「――ひっ、」
――けど。
薄暗闇の中、突然ゼンマイの音と共に現れたブリキの人形に驚いた彼女が、小さな悲鳴と共に俺の腕を掴む。
「あっ、ご、ごめん!!」
すぐに離れて謝られている間、終始表情が緩みきっていたことくらいは、許してほしい。
*
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美音(プロフ) - リューヌさん» 笑顔動画でもこちらでもありがとうございます！ 応えられるよう頑張りますので、よろしくお願いいたします！ (2016年12月6日 13時) (
レス) id: 8effde5d90 (このIDを非表示/違反報告)
リューヌ(プロフ) - 凄く面白かったです！ 更新頑張ってください！応援してます！ 後、某笑顔動画の小説も読ませていただいてます！ どちらも頑張ってください！！ (2016年12月5日 18時) (レス) id: d26bccd53e (このIDを非表示/違反報告)
美音(プロフ) - うみさん» コメントありがとうございます。そういっていただけてとても嬉しいです、頑張りますヽ(*＾ω＾*)ﾉ (2016年11月30日 21時) (レス) id: 8effde5d90 (このIDを非表示/違反報告)
うみ(プロフ) - 面白いです！更新楽しみにしてますね(*´-`*) (2016年11月30日 5時) (レス) id: c3991824f1 (このIDを非表示/違反報告)
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