第52話 ページ7
夜の10時まで続いたパーティーは、私の感謝のスピーチをもって締めくくられた。
「…本日は誠にありがとうございました。」
拍手が巻き起こる。スカートの左右を両手で持ち、片足を引いて膝を曲げる。背筋を曲げないように、スカートの裾が床につかないように。幼い頃、お母様に何度も教え込まれた、女性の『礼』だ。
(しばらくは、これもやらなくなるのかしら…)
鳴り止まない歓声を浴びながら、私は頭の片隅でそう思った。
両親と一緒に客人達を門まで見送り、服を着替えて広間に戻ると、空になった料理皿やテーブルが片付けられていた。代わりに、真っ白なテーブルクロスの敷かれた台が一つ。円形をしたそれの上で圧倒的な存在感を放っているのは、私が所望した大きなバースデーケーキだった。
高さは30cm程もあるだろうか。大中小と積まれた3段のスポンジは、純白の生クリームで美しく飾られており、隙間無く敷き詰められた苺は宝石のように輝いていた。色違いの12本のろうそくには火が灯っており、チョコレート製のプレートには、『A様 お誕生日おめでとうございます』の文字が。
「A様！」
セバスチャンの音頭で、使用人達、王軍兵達が声を揃える。
「お誕生日、おめでとうございます！」
パァン、と特大クラッカーが鳴り、金色の紙吹雪が舞った。
「A様、これを」
セバスチャンが近づいてきて、懐から両手サイズの箱を取り出す。薄いピンク色のラッピングで、赤いリボンで結ばれている。
「ここにいる使用人全員で、A様の為に最高のものをご用意致しました」
箱を受け取り、しゅるしゅるとリボンを解く。白い箱の蓋を開けると、
「まぁ…！」
リボンがついたカチューシャだった。以前壊れてしまったものと同じサテン生地だが、それより少しピンクの色が濃い。
使用人の一人が鏡を持ってきてくれたので、早速付けてみた。大きさはぴったり、リボンのバランスもちょうどいい。一目で気に入った。
「ありがとう、皆さん」
使用人全員の顔を見渡し、私はにっこりと笑った。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
