第72話 エレンSIDE ページ27
翌日、朝。ついに適正判断の試験が始まった。Aとアルミン、そして朝飯の時も不安そうにしていたミカサも、当然のように通過した。
「エレン・イェーガー、覚悟はいいか？」
体に装置を取り付けられた俺に、キース教官が険しい顔を向ける。
「はい！」
俺は教官の目を見て、はっきりと答えた。今朝は自主練もしたし、昨日ライナーに言われたように、ベルトの調整も完璧にしてある。
(やる、おれはやる！俺には素質がねえかもしれねぇけど、根性だけは誰にも負けねぇ！)
「始めろ！」
教官の合図でレバーが回され、腰紐が持ち上がっていく。かかと、そして体が浮き、俺は素早く手足を伸ばした。
(これが、俺の武器だ！)
「…っ、できた…！」
最前列で見ていたAが、小さく声を上げる。同時に歓声が沸き上がった。
(やった、できた！)
達成感に頬を緩ませたその瞬間、
「あっ、うわぁっぐっ！」
体がぐらりと傾き、俺の視界は、また逆さまになっていた。
(…嘘だろ)
頭に血が上り、絶望的な未来しか想像できなくなる。俺の兵士人生の最期を告げに来たであろう足音が、見慣れた逆さまの景色にこだました。
「ま、まだ…まだ、俺は…！」
俺の悲痛な叫びと裏腹に、教官の「降ろせ」という低い声が鳴る。腰紐が伸ばされ、俺の体は地面に着いた。
「お、俺は…」
情けなくも涙目な俺をしばらく見ると、教官は、装置のレバーを回していたワグナーと、ベルトを交換するよう指示した。言われるがままにすると、またレバーが回される。条件反射的にバランスを取ると、
(何だ、これ…)
さっきまでの難しさが嘘のように、体はバランスを保ったまま、いとも簡単に浮いた。ぽかんとする俺を前に、教官が口を開く。
「装備の欠陥だ。貴様が使用していたベルトの金具が破損していた。ここが破損するなど聞いたことはないが…新たに整備項目に加える必要があるな」
途端にギャラリーがざわつき始める。
「で、では…適性判断は…」
震えながら聞く俺に、教官は頷いた。
「問題ない。修練に励め！」
体の底から嬉しさがこみ上げ、爆発する。
「やった、やったぞ!!!」
感情のままに両腕を上げ、顔を輝かせて拍手しているAに笑いかける。歓声の奧からこちらを見ているミカサにも、俺は口端を引き上げて見せた。ただ、その隣で、アルミンとベルトルト、ライナーが、ミカサの方を向いてぽかんとしているのに、俺は気付いてもいなかった。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
