第67話 ページ22
「何やってんだお前ら？」
私達に声をかけたのは、背の高い、そばかす顔の女性だった。切れ長の目から発せられている眼光が、私達を射貫く。獲物(パン)を奪われるかもしれないと本能的に思ったのか、ブラウスはパンにがっつき始めた。
「え…っと…この子は今まで、ずっと走りっぱなしで」
「お前、いいことしようとしてるだろ」
「えっ…」
パンを食べ終えたらしいブラウスが、金髪少女の膝に倒れこむ。そのままいびきをかき始めた。
「それは芋女のためにやったのか？お前が得たものは、その労力に見合ったか？」
何かを達観しているかのように、彼女は淡々と言葉を紡いだ。
「…まあいい。とにかく、こいつをベッドまで運ぶぞ」
何も答えない…いや、答えられない金髪少女をよそに、そばかすの彼女は、起きる気配を見せないブラウスを担ぎ上げた。
「あなたも、いいことをするの？」
「こいつに貸しを作って恩に着せるためだ。こいつの馬鹿さには期待できる。」
口の端を引き上げるだけの笑顔に、私はえも言われぬ不安を感じた。
そばかすの彼女と金髪少女は、ブラウスを医務室へ運ぶという。汗を流したかった私は、二人と別れると、宿舎に向かった。建物に入り、置いてあったマッチでろうそくに火を灯す。まだ誰も食堂から戻っていないらしく、人の気配は全く無かった。
バッグから着替えを出そうと、自分のベッドに目をやった時だった。
「なに、これ…」
ベッドの上で閉じておいたはずのバッグは開いており、中に詰まっていた荷物はあちこちに散乱していた。愕然としながら、散らばった衣服を手に取る。
「あっ…」
同時に、何かがふわりと舞った。そっと指で摘んでみる。柔らかな、白い毛だった。
(これ、動物の毛…？どうしてこんなところに…)
眉根を寄せる。
…と。
キィ…
ドアが軋む音。咄嗟に振り返ると、宿舎の入り口で、小さな影が動いた。月明かりに照らされたのは、真っ白な体と、澄んだ青い目…
「にゃーん」
私の愛猫、シャルルだった。
「うそっ、シャルル！？」
私が驚いた声を上げると、彼は青い目をいたずらっぽく細め、ピンクのリボンを翻した。そのまま外へ駆けていく。
「まっ、待って！」
私は慌てて服を投げ捨てると、後を追いかけた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
