第62話 ページ17
広場に戻ると、大勢の若者達が各々の荷物を持ち、整列した馬車に乗り込んでいるところだった。手綱を握っている男達の背中には、2本の剣を交差させた、訓練兵団のマークがプリントされている。私、エレン、ミカサ、アルミンも荷物を抱え、他の志願者達に続いた。
ウォール・ローゼの門を出て、到着したのはトロスト区。シガンシナ区と同様、巨人を引きつけるために、壁から飛び出た形になっている街だ。
扉が開かれると同時に、ぞろぞろと降りていく群衆は、皆、遠足に来たかのような表情をしている。
「どいつもこいつも、にこにこしやがって…」
ぼそり、とエレンの声がした。
「104期訓練兵志願者達は集合！」
この場を統率しているらしい男性が声を張り上げる。言われた通りに列をなすと、全員に大きな紙袋が手渡された。持ち手の麻紐が手に食い込む。一体何が入っているのだろう。
その後、私達は教官の後に続き、訓練所を案内された。食堂や風呂場、救護室など、共同で使う施設は、一番大きな建物に一括して入っている。教官室がある小屋はその隣、トイレは運動場の隅にあるようだ。全体をぐるりと一周すると、私達は男女別に分かれ、宿舎に案内された。
教官がランプに火を入れると、薄暗い中に、数々のベッドが浮かび上がった。
「ここがお前達の寝室だ。自分の荷物が運び込まれている場所が寝床になる。併設されている洗面所や物干し場の使用は自由だ。午後1時の入団式までに、荷解きと着替えを済ませて、運動場に整列しろ。」
それだけ言って、教官は宿舎から出て行った。
ベッドを一つ一つ見ていき、見覚えのあるピンクのトランクを見つける。
(これが、私のベッド…)
腰掛けてみると、ギシッとも言わない。きっとスプリングすら入っていないのだろう。代わりに、少し埃っぽい臭いが鼻をつく。今朝まで王宮で使っていた物とは程遠い。途端に、あの柔らかい羽毛布団が懐かしくなった。
軽く荷物を整理した私は、先程渡された紙袋に手を入れた。何かすべすべした物に指が触れる。引き出してみると、それは訓練兵団のレザージャケットだった。一緒に入っていたのは、茶色いサスペンダーとベルト、それから白い細身のパンツ。ロングブーツは、紙袋の底に入った箱の中にあった。
ふと天井近くに目をやると、壁に掛けられた時計の長針が、ちょうど6を指している。
(あと30分で、兵士になる…)
さぁ、勝負はここからだ。
私は軽く息を吸うと、ブラウスのボタンに手をかけた。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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美翔(プロフ) - ニャー♪さん» コメントありがとうございます！ちまちま伏線を仕込んでいたりするので、楽しみにしていてくださいね♪ (2015年2月7日 23時) (
レス) id: 25a2966a5a (このIDを非表示/違反報告)
ニャー♪ - とても面白いです！これからの展開が楽しみです♪ (2015年2月7日 22時) (レス) id: 0827b25480 (このIDを非表示/違反報告)
フラン(プロフ) - 小悪魔女子さん» コメントありがとうございます！楽しんでいただけているようで、本当に嬉しいです。これからも頑張ります！ (2014年12月25日 15時) (レス) id: 45953354bd (このIDを非表示/違反報告)
小悪魔女子 - 物凄く面白く楽しませてもらってますそして私は、応援してます！ (2014年12月24日 1時) (レス) id: 8999ac6131 (このIDを非表示/違反報告)
夏実(プロフ) - 頑張って下さい!!ずっと応援しているので！ (2014年11月29日 23時) (レス) id: 129fe6e4a0 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：美翔 | 作成日時：2014年6月11日 7時
