＊どりーむどーむ＊

年上の人　宮國椋丞（後輩） ページ8

カーン





バシッ





ナイバッチー！





おら、もっと足動かせー！





グランドに飛び交うボールを打つ音、捕る音、部員の声



もうすぐ甲子園の予選が行われる





『椋丞、調子どう？』


椋「あ、夏稀先輩！いいですよ調子」




3年マネの夏稀先輩


厳しくて優しい、皆のお母さん的存在




『それは頼もしいね笑 あ、そうだ！』



椋「ん？なんですか？」



『予選の時にさ、私にウィニングボールくれない？』




椋「いいですけど、急にどーしたんですか？笑」



『いいじゃん！私の最後の思い出に、さ』



そう言った先輩の顔は、少し寂しそうな、嬉しいような、不思議な表情だった






そして準決勝



監督「ピッチャー、椋丞」




え？この試合で2年の俺が先発？




ここで勝たなきゃ次には進めない



大事な試合に俺が投げるなんて…………





『なーに堅くなってんだ！！』バシッ



椋「っつ！！…………先輩」




『椋丞、マウンドで思いっきり楽しんできな！』



椋「え…………？」



てっきり暴れてこいって言われるのかと思ったけど




んじゃー、楽しんでこようかな？笑



あ、そーだ



椋「先輩、お願いがあるんですけど！！」



『おぉ、なに？笑』



椋「この試合に勝ったら、言いたいことがあるんです！！」////



『ん、いいよっ』



ボールも渡して告白するぞ！





でも、俺の決意はむなしく糸満は負けてしまった



5失点。カッコ悪ぃ



『椋丞』


椋「先輩………」



『いいもの見せてもらったよ』




椋「え？でも負けて………」




『ううん、今までで１番楽しそうにやってたよ？』



そう、なのかな


確かに興奮しているのか、手の震えが止まらない




ギュッ



その震えてる手を握られた





『椋丞の言いたいこと、プロになってから言って？それまで私とはお別れ』



お別れ？







『実は、来月から留学するの。アメリカに』





アメリカ！？





椋「そんな………」



『どうしても叶えたい夢があってね。』ニコ








椋丞がプロになったら必ず会えるから






先輩はそう言って、アメリカに飛び立った

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