過去の時間 11時間目 岡島語り ページ14
たしか、あの日は7月に入ったばっかりだった気がする。テストからようやく解放されて部室に行った。
そこで見たのは肩を震わせたAと足元に投げられたスマホだった。Aの顔はとてもひどくて絶望を見たような顔だった。
それからははっきり覚えて無いけど彼氏から来たLINEには別れを告げる言葉があった。
その日、Aは笑うことはあったが目は笑うことなく無理矢理笑っているようにしているのは誰の目から見ても明らかだった。
まるで魂の抜かれた人形のよう__________いや、それより酷かったかもしれない。それから何ヶ月たってもAはそのままだった。
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〜千葉side〜
｢まぁ、こんなことだ。空元気なのは本人は気付いて無かったようだがなー｣
｢……………｣
｢んで、別れた数週間後に元彼は新しい彼女と付き合い始めたLINEの一言が【愛してる】とかばっかりだったんだよ。そりゃ、世の中にはもっとひどい恋愛だってあるけどなAには耐えられなかったんだろうな｣
知らなかった。Aがそこまで好きになった男がいたなんて。
Aのことは全部分かっているつもりだった。本当につもりだったってことを実感した。
｢……何でAは別れたんだ？そんなに好きなら……なんで｣
｢重荷にはなりたくねぇんだとよ。水駒井って椚ヶ丘より忙しいだろ？ここで我が儘言って重荷になるような真似は出来ねぇらしいぜ｣
｢Aはもう少し我が儘言ってもいい気がするけどな｣
｢確かにな｣
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あれから暫くしてサイベリアを出た。今は岡島と2人で並んで歩いていた。
｢千葉、俺はなAの笑顔を見てぇだけなんだ。あんなひでぇ顔、2度とさせたくねぇ。
俺がいれる1番近い位置であの笑顔が見てぇんだ。その位置はカレカノとか言う関係じゃねぇ。相棒の位置だ………だから、頼むぜ千葉｣
そうやってどこか誇らしそうに言う岡島はどこからかっこよく見えた
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作者名：ルチル | 作成日時：2016年6月27日 22時
