【WT】気ままな彼女の自由な日常2 (ページ45)

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辺りも暗くなってきたころ、俺たちの間にはそろそろ解散という雰囲気が漂っていた。
まぁ正直に言うとすごく寂しいけど、ここまでちゃんとエスコートしてきたんだ、から最後までスマートな俺で別れたい。

あれから少し強気になれた俺は、しれっと名前呼びに変えたし、Aちゃんの悪戯(？)に便乗してずっと手を繋いでいた。

『言ってた場所全部回ったけど、これからどうすんの？』

犬飼「ん〜、まぁ時間もいい感じだし、明日も学校だしね。
家まで送るよ。」

『え、別にいいのに。』

犬飼「そこは大人しく送られててよ。」

『…はいはい。』

犬飼「ねぇ、Aちゃん。今日楽しかった？」

ここで楽しくなかったって言われたら、明日立ち直れる気がしないけど、それでも一縷の望みをかけて聞いてしまった。
でも、見てた感じだと結構楽しかったと思うんだよね！いつもより喋ってくれてたし！

『まぁ』

奏「あれ？澄晴じゃん。」

犬飼「！？」

奏「なんだ〜、やっぱりデートだったのね。
こんにちは〜。澄晴の姉の奏です。彼女、かわいいねぇ。」

『ドモ。志之です。彼女じゃないです。』

犬飼「ちょっと姉さん！？分かってたなら声かけないでよ！」

奏「いやぁ、ついうっかり。」

ごめんごめんなんてほんの少しも悪びれる様子もない姉は、俺ら2人を交互に見てニヤァと怪しげな笑みを浮かべた。

奏「志之ちゃんさぁ、澄晴のことどう思ってんの〜？好き？」

犬飼「ちょっと！？」

あーもー、もう計画が台無しだ。最後までかっこいいところ見せたかったのに。
しかも、ここではっきり＂嫌い＂って言われると俺は本当に心が折れちゃうけど！？

『あー、うーん、どうだろう。まぁ、嫌いではないですけど。』

奏「あら。」

犬飼「…え？」

奏「そうなの！それは邪魔しちゃってごめんね〜！」

嵐のように去っていった姉に、深い深いため息が出る。
ようやくついた帰路ではなんだかペースが乱されていた。

『お姉さん、犬飼の姉って感じ。』

犬飼「ふふっ、なにそれ。
それより…、さっき嫌いじゃないって…。」

『別に嫌いじゃないよ。理解できないことはあるけど、だからって嫌ったりしない。』

それからの会話はあんまり覚えてない。気がついたらAちゃんの家に着いていて、また明日と言えた。

犬飼「(嫌いじゃない、かぁ。)」

事態は思っていたより悪くなかったらしい。