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『なんであんな状態で外出てたの？』
犬飼「任務終わりだっただけだよ。」
『社畜じゃん。ウケる。』
犬飼「ははっ、確かに。朝は熱っぽくなかったんだけどね。」
『ふぅん。薬も飲んだしすぐ治るんじゃない？』
犬飼「そ、だね。」
ベッドは俺が占領してしまっているため、彼女はちょうど俺の腰あたりに地べたに座ってスマホを触っている。
俺のことなんて意識もしていないであろう、スウェット姿でさえ可愛いと思ってしまうのだから、多分重症だ。
犬飼「もう少しだけ楽になったら帰るね。」
『……いれば？』
犬飼「え？」
『治るまでいれば？別に他に人いないしいいけど。』
犬飼「いや、でも」
『帰りたいなら帰ってもいいけど。』
犬飼「それは、うん、じゃあ、お言葉に甘えよう、かな。」
『うん、そうして。』
──────────
犬飼と最後に言葉を交わしてどれくらい経っただろうか。薬の副作用か、日頃の疲れからか、すぐにうとうとしだしたけどなかなか寝付かない。赤ちゃんか？
私はというと、ベッドの傍に座ってまぁ色々している。
犬飼「…むこう、いっててもいいんだよ。」
『はよ寝ろ。』
犬飼「なんで、ずっとここいるの…？」
『…風邪の時に1人じゃ寂しいでしょ。』
犬飼「…………………すき。ほんとに、すき。」
それだけ言い残して寝た犬飼。覚えてるのか覚えていないのかはわからない。
今までそういう言葉はたくさんかけられてきたけど、ここまで近しい人に言われたのは初めてで、どうしていいかもわからない。
ただ、どうか犬飼が覚えていませんようにと願うしかできなかった。
結局犬飼が次に目を覚したのは翌日の朝で、すっかりと元気になってしまっていた。
犬飼「いやぁ、ありがとうね。助かったよ。」
『家の人にはちゃんと説明しておいてね。一応、二宮さんと辻には連絡しておいたけど。』
犬飼「そうするよ。志之ちゃんから愛のこもった看病を受けたんだ〜って自慢しとくね。」
『いや誰に？…じゃ、元気になったなら早く帰ってね。』
犬飼「え〜、いいじゃんまだいても〜。」
昨日のしおらしさを呼び戻す方法はありませんか。
でもまぁ、願いが通じたのか犬飼があのことを覚えていなくてよかった。
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作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年9月14日 19時
