【WT】気ままな彼女の自由な日常2 (ページ32)

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目当ての恐竜博物館に到着してから、俺は気分が上がっていた。最近忙しくて来れなかったから余計に。

終盤に差し掛かった今気づいたけど、休日でクリスマスイベントをやっているここでは、周りはいつもよりカップルが多い。
かくいう俺たちも、志之先輩の「私置いていかれそうだから手出して。こうした方がカップルっぽいでしょ。」という言葉により手が繋がれている。

…側から見れば本当にカップルに見えるのだろうか。なんだかむず痒い気分になる。

誘っておいてなんだけど、恐竜博物館だなんてつまらないだろうと思っていたけれど、彼女は意外と楽しんでいる様子で、時々次に進もうとする俺を引き止める。

そういう時は大抵真剣に恐竜の説明を読んでいるのだ。

『これも辻好きなの？』

辻「それは俺が1番好きなやつですよ。」

『ふ〜ん、私もなんか好きかも。』

辻「かっ、こいいですよね。」

『かっこいいかは分かんないけど。なんでだろうね。』

そう言って微笑まれると、無意識に彼女の手と反対の手を握りしめた。

思えば、彼女から弟子卒業だと言われてから、こうして2人きりで過ごす時間は久しぶりかもしれない。

自分たちがB級へと降格してランク戦で戦う機会もなくなし、任務が一緒になったとしてもそこまで交流はなかった気がする。(多分主に犬飼先輩のせい)

心なしかキラキラと目を輝かせながら恐竜の剥製を見つめる彼女は、今の俺だけの特権なのだ。

辻「(誰にも邪魔されたくないなぁ。)」

そして俺はまた、今度は彼女の手を、ほんの少しだけ固く握りしめた。