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ゆりさんは向こうに残るみたいで、林藤さんと戻ってきたのはなんだかボロい建物。
しばらくここで暮らしていいんだって。こっちに祖父母の家があったはずだけど…、というと探しておくと言われた。
林藤「迅、いるか？」
迅「はーい、何？」
林藤「しばらくこの子の世話してやってくれ。」
迅「この子？」
歳は同じくらいだろうか。私の方が少し上と見た。
そんな子に世話される義務なんてない。自分でも祖父母の家を探して自立するんだ。
迅「どーもどーも、よろしく。俺は迅悠一、16。君は？」
と、歳上……！？その身なりで！？
『志之A、15歳。』
迅「学校は？」
『行ってないよ。……お世話ってことは、』
林藤「あーー、A。もうここではあんな金の稼ぎ方しなくてもいい。ボーダーに入ればちゃんと給料が出る。」
迅「なんの話ー？」
………住まわせてもらうのに、お金払わなくていいんだ。変なの。
林藤「やべ、本部から呼び出しだ。ちょっと行ってくるから、2人で仲良くなっとけよ。」
迅「はいはーい。」
『なかよく……？』
迅「さて、ボスから仰せ付かった訳だけど、まずは名前以外の自己紹介といこうか。」
2回目の身の上話。ゆりさんとは違って、なんだかホイホイと話を引き出された。迅…さんがそういうのが上手いのか、私がチョロいだけなのか。
迅「ボーダー入るってことは、今後高校にも通うんだろ？
じゃあお勉強、しっかりとしないとな！」
『勉強……？』
迅「まぁ俺に任せてよ。安心してて。俺、実力派エリートだから。
ほら、もう今日は寝な。部屋ならいっぱい空いてるから、そうだなぁ、ここから1番近い部屋にしようか。」
『あ、え』
お風呂は とか、着替えは とか、色々と聞きたいことはあったけれど、迅さんの服を貸してくれて、温かいベッドに入れられたら、もう睡魔には勝てない。
迅「おやすみ、A。安心して眠れよ。」
生まれて初めて、幸せな夢を見た気がした。
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作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年9月14日 19時
