【WT】気ままな彼女の自由な日常2 (ページ29)

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走りながら戦況の整理はした。とりあえず海の回収が最優先。
確実にトリオン兵を片付けながら最短で海の元へと向かう。

水上「(あとはこいつさえ倒したら)」

ハウンドをだしたその瞬間、ハウンドの軌道上にピッタリ志之サンが現れた。

水上「(あ)」

っという間も無く志之の元へと向かうハウンド。ランク戦ならまだしも、今はこっちからの攻撃なんて予想してもないよな。

《あ、ごめん。攻撃被っちゃった。》

空中でひらりと身を躱し、何事もなかったかのように周りのトリオン兵へと向かう彼女に、ここ最近で一番驚いた。

その身軽さはさっきまでの戦いを見てたからさほど驚きはせんかったけど、俺の手と同じ行動をとったことと、それを理解して俺に謝罪したこと。

なんか一瞬、奨励会の高校生を相手している気分になった。
自分と同じことを考えられる人間がここにもおったんか。
柄にもなくワクッとしてしまった。

間も無くしてシフトの時間が終了。
どうやらイコさんと隠岐の方は当真がカバーに入っていてくれたらしい。
俺らより広いエリアを2人で任されてその上こっちのカバーにも入るとか、A級の名は伊達じゃないな。

『隊服の水上初めて会った。赤似合わないね。』

水上「うっさいねん。」

『おたくの小さい子が迷子になってたから助けてあげたんだよ。そんなこと言っていいのかぁ？』

水上「はいはい、ありがとうな。……なぁ、今度将棋やらん？」

『デートの誘いだったら0点なんだけど。』

水上「あほか。そんなわけないやろ。俺こう見えても昔は将棋真剣にやっててん。志之ちゃんとも指してみたいな〜って思ったんやけど。」

『ルールとかわかんないよ。』

水上「それは教えるやん。」

『まぁ……いいけど。』

これがきっかけで生駒隊との交流が生まれたのだ。
水上の印象が「面白い女」に上書きされ、裏では南沢を虜にしていたなんて、志之が知る余地はない。

ちなみに将棋対決は、6枚落ちの水上が圧勝した。