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飴と鞭? ページ25

『………うん。』


今日は何をやってもダメな日だ。

目の前に広がるびちゃびちゃに濡れた学校の教科書。そう言えば今日は体育で転んだな。あ、膝痛くなってきたかも。


学校に着いた時だって、水上がニヤニヤとしながらこっちを見てくるから問いただしたら

水上「いやぁ、今日12日やから、志之ちゃんが主役の日やなぁと思って。」

と爆弾を落とされ、実際6限あったうち4限は当てられた。


小さな不運が積み重なったいま、こんな私の心を癒してくれるのは東さんしかいない。
こんな時は、東セラピーを受けるっきゃない!


『と、いうわけで来ました。私を甘やかしてください。』

東「お、来たな。そろそろじゃないかと思ってたよ。

今日はどんなことがあったんだ?」


ちょいちょいっと手をこまねいて私を隣に座らせる東さんは、私のことを適度に甘やかしてくれるから好き。


『え〜〜っと、まず朝遅刻かけました。』

東「遅刻はしてないんだな、偉いじゃないか。」

『それで、今日の日付が私の出席番号なので、たくさん当てられました。』

東「志之のことだから、全部答えられたんだろう?それも偉いな。」

『教科書が水浸しになりました。』

東「志之は濡れてないか?風邪ひかないようにするんだぞ。」

『あとさっき太刀川さんにソロポイントごっそり持っていかれました。』

東「それは……。」

『以上です!』


太刀川さんのことは不運ではない。私の実力不足。


東「今日もよく頑張ったな。志之は偉いぞ。」

『東さん好き………。頭撫でてください。』

東「はいはい、いくらでも撫でてあげるからこっちおいで。」


東さんが頭を撫でてくれる手が1番好きだ。柔らかい温度が伝わってくる感じ。この手があの無殺気スナイプを飛ばしてくるなんて思えない。考えたくない。



待って、なんか怖くなってきた。やっぱ東さん怖い!!

厄介お姉さん→←.



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作者名:通りすがりのいぬ | 作成日時:2022年7月29日 19時

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