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歌川「それで、今日はなんでここまで来たんだ?」
『ん〜、大したことじゃないんだけど、辻に会いに来たの。』
歌川「辻先輩に?もう本部に向かったんじゃないか?」
『だよねぇ。1時間くらい校門の前いたけど全然見つかんなかったんだもん。』
歌川「い、1時間…!?」
菊地原「どうせAさんがボーッとしてたからじゃないの?」
『お、鋭いね、しろちゃん。
連絡しようにも携帯の充電切れちゃって、もう踏んだり蹴ったりよ。』
菊池「その呼び方やめて。」
項垂れながら文句を垂れるきくっちーにレモン味の棒付きキャンディを差し出しながら、私も誰のものとは知らない机に項垂れる。
別に大した用ではなかったからいいんだけどね。
『いやぁ、遼が見つけ出してくれて助かったよ。』
歌川「気付いたのは俺じゃなくて菊地原だよ。」
『きくっちー!いい子だぁ〜!』
目一杯腕を伸ばして髪の毛をわしゃわしゃ撫で回すと、口では静止しながらも満更でもなさそう。おいおい、可愛いな。
歌川「この後本部行くんだよな?とりあえず、これ提出してくるから待っててくれ。」
『は〜い。いってらっしゃい。』
パタパタと忙しなく教室を出ていく遼を見送る。遼がいなくなったこの空間は、なんだか時間がゆっくり流れている気がする。
『風間隊の今日のご予定は?』
菊地原「今日は特に何も。チーム訓練だけだと思う。」
『ほう、カメレオン作戦がまた磨かれるわけだ。
あれ嫌いなんだよな〜、いろんなところ警戒しないといけないし。』
菊地原「Aさんにはあんまり効かないじゃん。SEあるんだから。」
『いやいや、私は分かるだけだから。』
私が持ってるSEは、自身を中心に半径30,10.5m以内に入ったものの気配を感知できるらしい。(三重の層になってる感じ)
感知って言っても、入ったかどうかがわかるだけで気配を追ったりは出来ないけど。
だからまぁ、風間隊が消えてようがあまり関係はないんだけど、対応できるかって言われたらまた別の話。
『そんな便利なものじゃないでしょ。きくっちーも分かってるくせに。』
菊地原「まぁね。」
分かるっていったって、人外が入ってきたのも感知しちゃうし、相手の動きがわかるわけでもない。
戦闘以外だとただ意識を割かれるだけの煩わしいSEだ。
歌川「お待たせ、本部行くか。」
『あ、コンビニ寄ってアイス食べたい。お姉さんが奢ってあげよう!』
菊地原「こんな時だけ歳上面するのなんなの?」
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作者名:通りすがりのいぬ | 作成日時:2022年7月29日 19時