おさななじみ ページ19
夕焼けが差し込む教室で、歌川は日誌を書いていた。
チームメイト兼クラスメイトの菊地原は机に項垂れながら俺が終わるのを待っていた。
そんな彼の耳に、校門付近から何やらザワザワとした小さな騒ぎが届いてきた。
菊地原「……なんかいつもより外がうるさい。」
そうは言いつつ、別に様子を伺おうともしない目の前の菊地原。
少し気になった歌川が代わりに窓の外を覗き見る。
歌川「そうか?特に何も…。」
菊地原「何、嵐山隊の誰かでもいるの?」
歌川「いや、悪い。ちょっと行ってくる。」
菊地原「あ〜、ハイハイ。」
菊地原は察した模様。
──────────
志之は不本意ながら六頴館高校の前である人物が出てくるのを待っていた。
携帯の充電を忘れていたため、標的に連絡を取ることすら叶わない。トリオン体に換装して内部通信を使うにしても、標的が換装していないため連絡が取れない。(やっちゃダメ。)
志之は、嵐山隊とまではいかないもののA級隊員としてそこそこ知られている。そのため周りが少しざわざわし始めているのだが、本人は一向に気づくそぶりを見せない。
歌川「はぁ、こっちに来る時には連絡しろって何度も言っただろう?A。」
『あ、遼。おす〜。』
歌川「おす じゃない。騒ぎになるところだったんだぞ。」
『またまたぁ。木虎とかじゃないんだから。』
歌川「Aは自分の顔の良さと知名度を自覚するべきだ。
ほら、こっち。」
『うい〜。』
何を隠そう、志之と歌川は幼馴染というやつだ。
とは言っても、志之の祖父母の家と歌川の実家が近かっただけで、そこまで深い関わりがあったわけではないのだが、偶然か必然かボーダーで数年ぶりに再会したというわけだ。
『いいの〜?勝手に部外者入れちゃって。』
歌川「会長がなんとかしてくれるだろう。それにもう就学時間は終わってる。」
『ふぅん、遼も悪い子になっちゃったねぇ。お、きくっちーやっほ〜。』
菊地原「どーも。人気者だったね。」
『ね〜、びっくりしちゃった。』
歌川つながりで関わるようになった菊地原と志之はマイペース同士、結構気が合うみたいだ。
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作者名:通りすがりのいぬ | 作成日時:2022年7月29日 19時