【WT】青春まったなし！！！ (ページ5)

今日:13 hit、昨日:42 hit、合計:10,349 hit

. ページ5

『東さ゛ん、私の奇襲どうでしたか゛。』

東「待て待て、まず涙を拭け。それから鼻をかめ。」

差し出されたティッシュを容赦なく引っ掴みズビーッと鼻をかんだ。

『王子先輩に叱られました。周りのことを考えられてないって。

こんな私は王子隊には要らないって。』

自分で言ってて、またじわりと涙が滲んできた。
私も必死に頑張っていたのに。

東「そうだな、周りのことを考えるのはチームには必要なことだな。

でも少なくとも俺は今日の姫坂には、してやられたなって思ったよ。久しぶりに落とされた。

それに、王子はそんなこと思ってないよ。」

『私、役立たずですか。』

東「そんなことないよ。今日の試合、勝ったじゃないか。お前の奇襲がなければ生存点も取れてないだろ。

偶然でもなんでも、お前が掴んだ結果だろう。

でも次からは、周りと連携して俺を狙ってくれるとありがたい。
王子隊に、何を求められているのか、何をすればいいのか。それをしっかりと考えてから、また戦おう。」

『はい゛〜…。』

ニッコリと、いつもの優しい笑顔で微笑んでくれた東さんの手に引かれて、王子隊の隊室へと戻った。

東「早く泣き止んでくれないと、俺が泣かせてるみたいだろ〜？」

『東さんは、何も悪くないです。』

東「そうでなきゃ困るよ。」

樫尾「あっ！姫坂先輩！」

橘高「東さん、すみません、色々と。」

東「いや問題ない。これくらいの方が可愛げがあっていいじゃないか。」

橘高「ふふっ、そうですね。
あ、東さんにもあげませんよ、Aちゃんは。
もちろん樫尾くんも。」

東「俺じゃ、このお転婆っ子は手に負えないな。
王子のところじゃないと。

それじゃ、あとは任せた。」

『東さん、ありがとうございました。』

深々と頭を下げる私に、ヒラリと左手を上げて去っていく東さんはとてもかっこいい大人に見えた。