癒しになるなら何なりと ページ38
王子先輩はたまに、何も考えたくなる時があるみたい。
いつも隊を引っ張ってくれてるし、作戦も沢山考えてくれてるから、脳が疲れちゃってるのかな。
その気持ちは少しだけわかる。
確かにそんな時は、家に帰ってからアロマなんて焚いてみたり、少し奮発したパックなんかで自分を労わるのもわかる。
だけど
王子「……はぁぁぁ………………。」
これはため息じゃなくて、深呼吸らしい。
私の肩に顔を埋めて深呼吸をしている。まぁつまり、私は今王子先輩に抱きしめられているのだ。
サラサラと撫でられる髪の毛も、私の服から漂う柔軟剤の匂いも、癒しになるらしい。知らないけど。
橘高「あら、今日はあの日？」
『そうみたいです。』
橘高「Aちゃんはオーラも優しいから、王子くんも癒されちゃうのかもね。」
『オーラってなんですか。』
クスクスと2人で笑っていると、ぎゅうっと抱きしめる強さが強くなる。まるで、甘えん坊の猫みたいだ。
橘高「ふふ、嫉妬されちゃったみたいね。
今日はこのあと何もないから、ゆっくりしてから帰っても問題ないわ。」
『はい、王子先輩の気がすむまでここにいます。』
王子先輩には下心が一切ないの分かる。ただ癒しが欲しいのだ。
その癒しに私がなれるのならなんだってしようじゃないか。
『王子先輩、何かすることあります？』
王子「……ヒメは何もしないで、ここにいるだけでいいんだよ。」
『えぇ〜、私だって王子先輩のためになりたいですよぅ。』
王子「……よし！充電完了だ。
ありがとう、ヒメ。家まで送るよ。」
『もういいんですか？今日は短いですね。』
王子「この前、カゲくんにヒメに癒されてるって話を具体的にしたら、凄い勢いで引かれちゃったからね。」
『カゲさんが…、想像できますね。カゲさん、絶対誰かのこと抱きしめたりしないでしょ。』
王子「確かに。ヒメも王子隊以外の人からはされちゃダメだよ。」
『もちろんですよ。王子隊のみんなは、私にとって家族みたいなものですから！』
王子「うん、じゃあそろそろ行こうか。
あんまり遅くなりすぎると、羽矢さんに怒られてしまいそうだからね。」
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作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年2月20日 15時
