【WT】青春まったなし！！！ (ページ36)

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悪夢も覚めたらただの夢ページ36

「おねえちゃん、なんであの時助けてくれなかったの？」

あぁ、これは夢だ。

「自分だけ、楽しく暮らして。」

だって、颯太がこんなこと言うはずないもん。
夢だ、全部夢だ。

むしろ私がボーダーに入ったのも、颯太が居なくなったのも、全部夢だったらいいのに。

「もういいや、僕は向こうに行くね、お母さんたちのところ。」

待って、私も連れてって。

『待って…！』

パッと目を覚ますと、眩しい光が飛び込んできて、思わず顔を顰める。

諏訪「起きたか。」

『すわ、さん…？なんでわたし』

諏訪「さあな、気づいたらお前がここで寝てたんだよ。

ったく、迷惑な話だぜ。」

『ごめ』

諏訪「勘違いすんじゃねぇぞ。

そこまでなる前にちゃんとこまめに吐き出せってんだよ。」

『…うん。』

体を起こし、タバコの匂いがする諏訪さんの背中に擦り寄る。とにかく人の温もりが恋しかった。

『颯太の夢見ちゃった。』

諏訪「あぁ、あの弟か。」

『私、ダメなお姉ちゃんだったな。』

諏訪「ダメじゃねぇ人間なんていねぇだろ。」

『もっと、』

諏訪「一丁前に無い物ねだりしてんじゃねぇよ。」

頭をぐりぐりと撫でられて、それ以上の弱音を許してくれない。

『諏訪さん厳しいです。』

諏訪「生意気な子供にはこれくらいがちょうどいいんだよ。」

『そんなに年齢変わんないじゃないですか。』

諏訪「そう言うとこが生意気なんだよ。

もうすぐ蔵内がくるから、その涙目をどうにかしとけ。
俺が泣かせたみてぇじゃねぇか。」

『諏訪さんに泣かされました。』

諏訪「お前なぁ…。もうお前の弱音聞いてやんねぇぞ。
どうせ俺くらいにしか言えねぇんだろ。」

『そ、そんなことないですよ！

それに諏訪さん、弱音吐きすぎると怒るじゃないですか。』

諏訪「怒りゃしねぇよ。
弱音は程々がいいんだよ。覚えとけ、クソガキ。」

まぁ、事実なのだが。
私が初めて諏訪さんと出会った時も、出水にボロ負けしてギャンギャン泣いてた時だったから、もう弱みを見せるもクソもない。

蔵内「ヒメ、お礼言ったか？」

『諏訪さん、ありがとーございました。』

諏訪「おー。」

こちらを一瞥もしないで別れを告げる諏訪さんは、少しカッコよく見えた。絶対に言ってあげないけど。