定位置：保護者 ページ33
季節は梅雨入り。過ごしやすい春から徐々に湿気が増し、急な雨に降られることが多くなってきた。
今日だって、朝はあんなに太陽が照りつけていたのに、今はこのどんよりとした厚い雲が空を覆っている。
『これは一雨来そうだなぁ。』
傘持ってきてないや。基地まで走れば間に合うかな。
迷ってる暇があったら走れって私の中で結論が出た。
トリオン体になって走れば濡れないのでは？と言う天才的な発想は思い至ったが、流石に私的に使うのはやめておく。
『ひぃ〜！やっぱり間に合わなかったじゃん！
もういいや、このまま基地まで走ろう！』
鞄を傘にしながら…とはいかず、プリント類の入っている鞄をそう易々と雨には晒せない。むしろ私が鞄の傘になって直走ること約8分。
ボーダーの入り口が見えてきた。髪も服もずぶ濡れなのでその辺はもう気にしない。
『あ！弓場さ〜ん！』
弓場「その声は…、姫坂か。
お前、ずぶ濡れじゃねぇかァ！」
『へへ、傘忘れちゃいました。このまま突っ走ります！また後で〜〜！』
弓場さんの真横をビュンッと通り過ぎ、ようやく辿り着いた入り口。いやぁ、最短距離できたから雨を宿るところが全くなかった。うん、見事なまでのずぶ濡れだ。
このままトリオン体に換装しても風邪ひかないのかな？一回お風呂入った方がいい？
とりあえず、スカートが重いから絞ろうか。
弓場「おい、何してんだテメェ。」
『あ、弓場さん。早かったですね。
スカートが水吸って重いんで、絞ろうかと…。』
弓場「…もうちょっと周りを気にしろや、コラァ。
男の前で易々とスカート捲ってんじゃねぇ。」
『弓場さん…！』
弓場「とりあえず風呂、入れ。話はそれからだ。」
『はぁい。』
ん？
『話………？』
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作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年2月20日 15時
