距離感バグ ページ21
南沢は友人である時枝から聞いたおすすめのオレンジジュースを買いに自販機へと向かっていた。
フンフ〜ンと鼻歌を歌いながらご陽気な様子だ。
南沢「お、これじゃ〜ん。」
どうやら目的のものを買えたらしい。そのまま自分の隊室へと帰ろうとした時、目の端に何か映った。
南沢「……？？」
自販機の死角になっているあたりを覗き込むと、姫坂が眠っていたのだ。
トリオン体は睡眠は必要ないはずなのだが、手に握られているホットココアを見るあたり温かさから眠ってしまったのだろうか。
珍しく王子隊お揃いの白手袋を外している姿は、
南沢「ほぉ〜………。珍しい。」
そのまま帰ってもよかったのだが、起きた時自分が隣にいたら驚くだろうか。
その様子を見てみたくて、なんとなく隣に座ってオレンジジュースを口へと運ぶ。
どんな顔をして驚くのだろうか。
南沢「(ヒメさんのことだから、怒ったりはしないんだろうな〜。)」
樫尾「南沢先輩？」
南沢「ん」
樫尾「…？何してるんですか？」
しぃ〜っとジェスチャーする南沢の左肩には、姫坂の頭が乗っている。
すうすうと小さく息を立てている彼女を起こさないように静かにしている南沢はいつもとは違い少し大人びて見える。
『んぅ……。』
南沢「あ、起きました？」
『み、なみさわくん…？』
南沢「はい！おはようございます！」
『おはよう……、カシオもいる……。』
樫尾「おはようございます…？」
働かない頭で状況を徐々に理解していく姫坂を満足げに見つめる。
『ごめん！肩重かったよね！』
南沢「いやいや！余裕っす！」
『うわぁ、全然気付かなかったぁ…！』
恥ずかしそうに少し乱れた髪を直す姫坂を相変わらず満足げに見つめて、嵐のように去っていった。
『南沢くん何か用があったのかな？』
樫尾「さぁ…？」
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 30人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：通りすがりのいぬ | 作成日時：2022年2月20日 15時
