恋した私が馬鹿だった。【佐野万次郎】

ろく ページ9

A side









花「A！！」




私の名前を呼びながらこちらへ走ってくる武道

その顔はどこか浮かない顔をしていた。




『武道、どうしたの？』


花「ッ.....いいのかよ、あれ....」


『.....何が？』




グッと拳を握る音がした。

武道は苦い顔をしながら、「とぼけんなよ.....」と悲しそうに言う。




花「昔のAなら、あんなの.....！！」


『武道』




ビクッと武道は肩を揺らし、焦った顔でこちらを見る。その額には少し汗が滲んでいた。




『私は、もう変わったの。
今更、そんなこと言わないでよ』


花「ッごめん.....けど！！」


『ごめん、行くね？』




武道は、私の名前を呼び引き止めようとするが、やがて無駄だと分かったのか、

諦めたようだった。




三「.....送るよ。
女の子一人じゃ危ないだろ？」




優しい笑顔で、笑いながらヘルメットを差し出してくれる三ツ谷くん、

その顔には、何か、違うマイナスな感情が混ざっていたように見えた。




『三ツ谷くん....ありがとう。』




ニコッと、三ツ谷くんの笑顔に答えながら差し出してくれたヘルメットを受け取ろうとすると、




マ「俺が送ってく。」




どこか不機嫌な様子のマイキーくん。

.....なんで、

こっちが不機嫌になりたいよ、




『いいよ、マイキーくんは東雲さんと帰りなよ』


マ「あ？なんでだよ」




どんどん負の感情が溜まってゆき、少し冷たい口調でマイキーくんに言った。




『なんでもいいでしょ、』




マイキーくんの顔が少し暗くなった気がする。

三ツ谷くんは少し焦りながらこちらとマイキーくんの顔を交互に見る。


そんな時、今一番来てはいけない人が来てしまった。




東「ねぇ万次郎！送ってってよ！」




東雲さんは後ろからマイキーくんの腕を引っ張り、
上目遣いを駆使してマイキーくんにおねだりをする。




マ「ごめん、俺Aを送らなきゃ」


東「いーじゃん！









どうせこの後万次郎の家行くんだから！」


『...は？』




自分の耳を疑った。


マイキーくんの家に....？




『へぇ、もうそこまでいってるんだ。』


マ「！！違う、A」


『何が違うの？』




ビクッとマイキーくんは肩を揺らす。

三ツ谷くんも驚いた顔で私を見た。


そりゃそうだ。


自分でもびっくりするくらい低い声が出たのだから。

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