天使だと思っていた 2 ページ10
「…………んんっ……あー……?…………なんだ、夢かよ」
自室のベッドの上で目覚めた。
カーテンが外から日光に照らされている。どうやら今は朝のようだ。
さっき見た夢…………、俺がまだ天使だった頃の出来事だな。
本気でアイツとずっと一緒にいるもんだと思ってたな、あの時は。
なのに……。
「まさか次の日に堕天しちまうとはなー。はは、すげー笑える。」
自嘲するように笑ってみたものの、あのときの事を思い出して胸が痛む。
Aが、俺から遠退いて行く。
高望みはしないから、せめてあの場に居たかった。
他の天使と同じことをして、Aの側に居続けたかった。
「……なぁ、A。もう俺の隣には来ねーのか……?俺、お前が居ねぇと何もできねーんだけど」
後から全て理解出来た。
Aが俺の世話を焼いていた理由も、俺がAの側に居られた理由も。
俺は知らない間に周りから劣っていたらしい。
偉い人に言われたのか自分の意志なのかは知らないが、Aはそれを察して俺の隣で支えていてくれたんだ。
別れの日だってそうだ。俺が堕天すると決まって、それこそ偉い人に会っていたんだろう。
「私が支えているから、どうか堕天だけは……」ってな。
というか、その日のAのことは俺が今の俺になる時に何かから聞いたんだったか。
その間に堕ちたけどな。
最後にAの顔を見ることが出来たなら、こんなに悔やむことも無かったかもしれない。
あーあ、俺ってほんと馬鹿だ……。
「……A…………。」
隣に来て、また俺の名前を呼んでくれよ。
俺の声と同時に目尻から流れた水分には気付かないふりをした。
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作者名:すた | 作成日時:2017年12月29日 4時