必然的でぇと 4 ページ5
「…………好きだ、A。もちろん、友達としてじゃなくて、恋愛的な意味で……な?」
Aの好きな人も、今日お洒落した理由も、ほぼ確信を持っていた。だからこそ、言えた。
それもAが言わなきゃわかんなかったんだし、こういうのくらいは、俺から言わないと。
言い終わって、優しく笑ってみせる。
「……私も、アタリくんのことが好き。アタリくんと同じ意味で。」
嬉しそうに微笑みながら、そう返してくれた。
うわー、すげー嬉しい……。それと同時に今までなよなよしてた俺が情けない、ほんとに。
「っはは、両想い……だな。……すげー嬉しい」
「あはは、アタリくん顔真っ赤〜」
「う、うるせ〜」
「……私も、嬉しい」
俺が心の中でどんだけ舞い上がってるかなんて知らずに、彼女はにこりと笑った。
本当に嬉しそうで……、…………この世に十文字アタリとして生まれてきてよかった。
もう一度抱きしめてAの耳許で「かわいい」と呟くと、「ありがとう」と小さな声が聞こえてきた。
照れてるんだろうな……、ほんと、かわいすぎる。
「そ、そろそろ離してよ……。もうすぐバス来るし、ちょっとは人もくるかもしれないでしょ?」
抱きしめたまましばらく幸福感に浸っていると、腕の中から少し慌てた声が聞こえた。
渋々腕を離すと、「帰ったらアタリくんの部屋に行くから、ね?」と付け加えられ、名残惜しい気持ちは消え去った。
それからバスを待っている間は午前のようなモヤモヤは全くなかった。
昨日の天気予報で言っていた『曇のち晴、午後は降水確率0%』なんていう今日の天気と全く同じ。
今はすっげー嬉しくて楽しくて、ハッピーって感じだ。色で表すならオレンジとかピンクとか黄色。
これから毎日、こんなのが続くのかな……。
うわー、あと100年は余裕で生きれるだろ。マジで。
なんて口に出したら周りからくだらないとか言われそうなことを考ええていると、バスが到着した。
一番後ろの席に座ってしばらくすると、Aが肩に寄りかかってきた。
まだ寝足りなかったのか、疲れたのか、目を閉じてすやすやと眠っている。
「……おやすみ、帰ったら構えよ」
そう言ってAの額に口付けた。
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作者名:すた | 作成日時:2017年12月29日 4時