必然的でぇと 2 ページ3
***
「ごちそうさまでした」
控えめに手を合わせたAを見て、少しかわいいな、とか思ってみる。
買い物を済ませ目当てのゲームも買った後、同ショッピングモール内のフードコートで昼食をとった。
Aより少し先に食べ終わっていた俺は、まだ残っていた飲み物を飲みながら物思いに耽っていた。
「……なぁ、お前そんな服持ってたっけ?」
Aに話しかけづらかった一因はこれかもしれない。
仲の良い彼女と出かけたことは結構あるが、今日は一段とお洒落な気がする。気のせいかもしれないけど。
「あー……、まぁ、うん。持ってた。」
Aは曖昧な返事をして、飲み物の入ったコップに刺さっているストローを口に含んだ。
***
あれからフードコートで少し駄弁っていたら、夕方も近くなっていた。
そろそろ帰ろうかとバス停に向かうと、やっぱり誰もいない。
帰る場所の近くは車持ってる人ばっか住んでるもんな。あとご老人。
そんな所だからバスも少ない、とでも言うように、時刻表には次のバスは20分後だと記してあった。
直前のバスは数分前に通過したらしい。
「まじかよ〜、タイミング悪かったな」
「そうだね。まぁ、喋って待ってようよ」
「そうだな」
とは言ったものの、話題なんて特に無かった。
必死に話題を探っていると、先日の会話が頭に浮かんだ。
『なぁ、Aって好きな人いんの?』
『え、好きな人?いるけど』
…………丁度良い機会?だし……、好きな人、聞いてみるか。気になるしな。
「……あのさ」
「?なに……?」
「この前のことなんだけど、Aの好きな人って誰?」
……って聞けたらいいんだけど、ダメだな。上手く口に出せそうにないや。
「あー、えっと…………今日のA、なんかいつもよりかわいいなーって、思って」
わーーーバカバカバカ何言ってんだ俺!!
こんなこと言うつもりはさらさらなかったから、ちょっと所じゃなく焦る。顔に出てたらまずい、慌ててふいっと顔を逸らした。
「え、ほんと……?ほんとに、そう思う……?」
身を乗り出したAに距離を詰められ、思わず振り向き、戸惑いつつも「おう」と返す。
「……そっか」
Aはすぐにぱっと離れて元の位置に戻るが、その声は少し嬉しそうに聞こえた。
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作者名:すた | 作成日時:2017年12月29日 4時