国見ちゃんと可愛い方の及川さん[HQ!]

09*断罪イベント ページ10

部活が終わり学校を出ると一台の車が停まっていた。
私を見つけてか窓が開かれ｢乗れよ｣の一言。


｢乗らない。
せっかく来てくれたのに悪いけど、別れる。｣

｢は？お前、何言ってんの？｣


車から降りてきた大学生とは友達の紹介で知り合い、春休みから付き合いだしていた。
一緒にご飯食べたくらいで特に何もしていない。


｢別れるの。｣

｢そんな素振り何も無かっただろ！
急に何言ってんの？｣

｢…無視してるの気付いてなかったの？
付きあったけど、好きになれる要素無かったし、連絡しつこいのも嫌でした。｣


勝手な事を言っているのは重々承知だ。

目の前で盛大な溜め息と、こちらを睨む瞳は慣れっこ。


｢ほんと顔だけだったな。
中身はクソかよ。何様なのお前？
性格悪すぎだろ。時間と金の無駄。
さっさとヤッておけば良かったよ｣


罵倒を繰り返してるけど、右から左に抜けていく。はいはいワロスなんて流れていく。


｢おい、聞いてんのかよ！？｣


掴まれた胸ぐらに少し身体が浮いた。
以外と体格差ある。徹より小さいけど。
…男として人としてこう言う行為に出るのは最低。

岩ちゃん直伝護身術の金蹴りをしようと足を振り上げた。


｢警備員さーん、あそこです｣


聞こえた声に手は離され、車の中へ逃げていく。


｢今日でおしまいね｣

｢お前みたいなガキ知らねぇよ｣


急発進で車は学校前からいなくなる。

振り返るも警備員さんなんて居らず、ジトッとした目がこちらを見下ろしているだけ。


｢Aさんって危機感無さ過ぎじゃないですか？
文句言われてなんで黙ってるの？」

｢…自分のものにした気で私の中身なんて知らないで付き合ってる。
私も好きじゃないのに付き合ったから、何言われても別に気にならないし、言い返したら相手が可哀想だよ。｣


軽蔑してる？
そんな目で見られるから、夢壊しちゃったかなって申し訳なくなる。

ごめんね、国見ちゃん。



｢顔は良いから、それだけで目を引くし、手当たり次第に男引っ掛けるのは辞めた方がいいですよ。｣

｢うん…気を付けるね。｣


心配掛けてしまった、のかな。
国見ちゃんが来なかったらどうなっていたか正直わからない。


｢これで今は彼氏居ない事になりますよね。
改めて立候補するんで考えて下さい。」


イタズラに成功した子供みたいに楽しげに笑っている顔に少しドキっとした。


｢考えてって言われても…｣

｢お腹空いたんで帰りますよ。｣

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