番外編 愛した彼女の墓参り ページ49
*
菅原孝支は、彼女を確かに愛していた。
部活でよく見た彼女の横顔は真剣そのもの。
その横顔に俺は惹かれて、気付けば彼女が欲しくて堪らなくなっていて。
……そんな彼女がとうとう天寿を全うして逝ってしまったと訃報を聞いた時、俺は膝から崩れ落ちた。
もう会えないんだと思った時には、もう生きていることすらしんどい、と。彼女に出会ってから、彼女がいてこその人生だった気がするせいだろうか、なんて。
＿＿＿だから俺は、
＊
月島蛍は、安らぎの元の彼女しか無かった。
己が夢の為、と別れを切り出した時の彼女の顔を、一生忘れることは無い。
偽りの笑顔で、本物の激励を僕にくれた彼女こそ、僕の人生における何物にも代え難き存在そのもの。
彼女の存在が僕を励まし続けた。
……そんな彼女が、亡くなったと言う。事故でも無ければ病気でもない。ただ、定められた運命のままに、天へと昇ったと。
僕はそれを聞いた時、悲しみよりも先に、違う感情が溢れて来て。
美しき人生に生きたあなたが、幸せのままにこの世を去ったのなら。僕は、あなたを想い続けてきたことが正解だったと、そう思うんだ。
＿＿＿だから僕は、
＊
二口堅治は、隙間に愛を囁き続けた。
何よりも初めての彼氏と別れたばかりだと知っていて近づいた下心のせいか。
俺を過ぎて、彼女が見るのは"俺"じゃない。
それでもいいと望んだ俺と共にいてくれた彼女は、俺が求めた慈愛そのもの。
足りない何かを埋めてくれる闇に射した一筋の光。
……そんな彼女が、更なる光の世界へ旅立ったと言う。迷うことなく天へと向かうんだろうと、漠然と思った。
彼女にもう会えないんじゃない、彼女は道を拓いただけなんだ。
闇に彷徨う俺の手を引いてくれる彼女が居なくても、俺は一人で歩けると。証明出来たら、彼女はまた俺に笑いかけてくれるだろうか。
＿＿＿だから俺は、
*
終わり
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西谷彩香(プロフ) - ネーヴェさん» コメントありがとうございます！今回は……「宝物とは」的に書いていた気がします。案外綺麗にまとめられたんじゃないかなと……！これからも色んな作品を書いていきたいと思ってます、よろしくお願いします！ (2018年12月20日 15時) (
レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ネーヴェ(プロフ) - 完結おめでとうございます！！ほかの小説とはまた違う独特の世界観ですごい感動しました。ここまで色々な人に愛されてきた夢主さんは幸せだったと思います。これからも応援してます！頑張ってください！ (2018年12月20日 15時) (レス) id: 39a6bf43e1 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます！楽しく書いていた作品をそうして言っていただけるのは嬉しいです！ありがとうございました！ (2018年12月20日 13時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます！！最後は泣きそうになってしまいました← いいお話をありがとうございました(?)！ (2018年12月20日 6時) (レス) id: 97574853b7 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます！きっと誰も、"過去"に"後悔"はありません。そんな、それぞれの道に進んだ誰かを書きたかった。楽しかったです。これからも色んな話を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします！ (2018年12月19日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：西谷彩香 | 作者ホームページ：http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時：2018年11月20日 1時
