たくさんの手紙 ページ39
*
「……差出人が全部違うね」
おじいちゃんがその手紙達を裏返して送り主を確認してからそう言った。
「え、全部?」
「うん……ってあれ、ごめん、全部ではないかなぁ。ほら、この人は枚数が多いねぇ」
「なんて読むんだろ、えっと……や、や……やひさ?やひさ……えい、すけ?かな?」
「ふふ、うーん、違うね。それは
おじいちゃんがそう言って私に渡してきたのは、その夜久って人がおばあちゃんに宛てた手紙のひとつ。
「読んでいいのかな」
「中身を見ないことには、判断しようがないから、不可抗力ってことにしたらいいよ。僕が彼女に謝っておくから、大丈夫」
「……どこで?」
「とりあえず今はあの骨壷に。その後は……仏壇に毎日謝って、彼女にまた会えたら謝って、また一緒にいようって言うんだ」
「……おじいちゃん」
「うん?」
「絶対、絶対長生きしてね」
「ふふ、そんな簡単には死なないよ。それに、すぐに彼女の隣に行ってしまったら、きっと彼女が怒ってしまうだろうから」
おじいちゃんはそう言いながら一通の手紙を手に取って読み始めた。
そんなおじいちゃんを見て、私もさっき渡された手紙を開いて読み始める。
『Aちゃんへ
久しぶり。合宿以来の連絡でごめん。黒尾がうるさくてさ。
それより、この前の約束のことだけど。予定がついたから、何とか果たせそうなんだよ。再来週の週末、三連休だしちょうど良かった。
そう言えば研磨が一緒に行きたそうだったけど、流石にマズいよな。それに研磨連れてったら犬岡とかリエーフが"俺も!"って言い出しかねないし。
お互い大変だけどさ、頑張ろうな。じゃ、とりあえず再来週に。
夜久衛輔』
遊ぶ約束でもしていたのかと思ったけれど、よくよく住所を見たらこの夜久衛輔って人が住んでいるのは東京だと言うのが分かり、違うなと分かった。
しかも遊ぶ約束とかならメッセージ飛ばせばいいんだし。
「……でも、親しそう」
名前的にこの人も男だし。
おばあちゃん、一体どんな過去を歩んでいたの。
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西谷彩香(プロフ) - ネーヴェさん» コメントありがとうございます!今回は……「宝物とは」的に書いていた気がします。案外綺麗にまとめられたんじゃないかなと……!これからも色んな作品を書いていきたいと思ってます、よろしくお願いします! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ネーヴェ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほかの小説とはまた違う独特の世界観ですごい感動しました。ここまで色々な人に愛されてきた夢主さんは幸せだったと思います。これからも応援してます!頑張ってください! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 39a6bf43e1 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます!楽しく書いていた作品をそうして言っていただけるのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後は泣きそうになってしまいました← いいお話をありがとうございました(?)! (2018年12月20日 6時) (レス) id: 97574853b7 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます!きっと誰も、"過去"に"後悔"はありません。そんな、それぞれの道に進んだ誰かを書きたかった。楽しかったです。これからも色んな話を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします! (2018年12月19日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年11月20日 1時