制服の第二ボタンの思い出 ページ38
*
「……おばあちゃんモテモテの次元超えてる気がする」
「ははは、僕も思ったよ。それに月島くんから第二ボタン受け取ったの、別れた後だって言うんだよ」
「ますますわかんない」
「僕もそればっかりは分からなかったなぁ。彼女は本当に、周りに愛される人だったんだなってことくらいしか」
おじいちゃんが楽しそうに笑いながらそう言った。
ついでに一緒に箱に入っていた赤いリボンもやっと分かった。おばあちゃんの先輩だったと言う、「潔子さん」から交換で受け取ったものだったんだ。
それよりも私はうずうずしていた。
「……おじいちゃん」
「なんだい?」
「あ……アルバムなら!触っても……見てもいいよね!?おばあちゃんの学生の時の写真見たい!」
「それはいいね。僕も見たいなぁ。彼女に何度頼んでも、終ぞ見せてはくれなかったから。これくらいは許してもらいたいなぁ」
そんなおじいちゃんの許可とも言えない許可の声を聞き、私は早速アルバムに手を伸ばした。
まずアルバムの最初のページを開き、恐らく校庭のような場所で取られたらしい学年写真が目に飛び込んだ。
……まともにおばあちゃんの若い頃の顔を知らない私は、とりあえずそのページは後にしようとおばあちゃんの個人写真が乗っているはずのクラスのページを開く。
五十音順に並んでいるそれを、一番最初の「青木さん」から辿る。
それからすぐにおばあちゃんらしき人が見つかった。
「おじいちゃん、おばあちゃん、これ?」
「あぁ、そうだよ。懐かしいなぁ」
『大澤A』と書かれた名前。おばあちゃん、旧姓は「大澤」だったんだ。
それも初めて知った、と思いながら私は若い頃のおばあちゃんをマジマジと見てから、またページを捲った。
捲って、捲って、あの本来は真っ白の、寄せ書きをするあのページまで来ていた。
そのページは、「本当に真っ白だったのか?」と言いたくなるほど文字で埋め尽くされたページだった。おばあちゃんの人望が窺える。
それからアルバムを元の箱の中に戻そうとして、そうして私はそれに気がついた。
「手紙だ……」
「アルバムの下敷きになっていたんだね。……本当にいっぱいだなぁ、誰からだろう」
そう言って、おじいちゃんがその手紙に手を伸ばした。
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西谷彩香(プロフ) - ネーヴェさん» コメントありがとうございます!今回は……「宝物とは」的に書いていた気がします。案外綺麗にまとめられたんじゃないかなと……!これからも色んな作品を書いていきたいと思ってます、よろしくお願いします! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ネーヴェ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほかの小説とはまた違う独特の世界観ですごい感動しました。ここまで色々な人に愛されてきた夢主さんは幸せだったと思います。これからも応援してます!頑張ってください! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 39a6bf43e1 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます!楽しく書いていた作品をそうして言っていただけるのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後は泣きそうになってしまいました← いいお話をありがとうございました(?)! (2018年12月20日 6時) (レス) id: 97574853b7 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます!きっと誰も、"過去"に"後悔"はありません。そんな、それぞれの道に進んだ誰かを書きたかった。楽しかったです。これからも色んな話を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします! (2018年12月19日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年11月20日 1時