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白いハンカチ ページ29

*








おばあちゃんの部屋に戻り、作業を再開した。

私は一応、と思ってイルカのペンダントがついていた鞄を開けて中を見て、何も入ってないことを確認してからダンボールに入れた。

それから、窓際に置いてある棚の上の写真立てに目を移した。


そこには、おじいちゃんとおばあちゃん、お父さんとお母さん、そして私が写った写真。確か、私が小学生くらいの時のだと思う。

その隣には、恐らくお母さんと思われる小さい女の子が、おばあちゃんと思われる綺麗な人と並んで写っている、「小学校入学式」の写真。

それから、おじいちゃんとおばあちゃんの結婚式だろうか。純白のドレスとタキシードを着た幸せそうな二人の写真。


そしてその横に目を向けて、私はそのハンカチを見つけた。

花の刺繍が入った、白いハンカチ。



「何でこれだけ棚の上に?ねぇおじいちゃん、ハンカチとかって、いつもそっちのタンスに入ってたよね?どうしてこれだけここにあるの?」


「ん?……あぁ、そのハンカチかぁ。そこにあったんだね。見てなかったよ」


「このハンカチは……誰からの?」



私はおじいちゃんから話を聞くより早く、訝しげな目でおじいちゃんに聞く。

だって、今までの流れ的に誰か、今までの彼氏さんからの贈り物だと思ったから。



「それはね、」



おじいちゃんは私がそう思っていると思ったのか、苦笑い気味に告げた。



「結婚式の時、彼女の後輩の谷地さんが彼女に贈った物だよ」


「……ヤチさん?その人は、何、いつの人?」



私の言葉を聞いて、遂におじいちゃんは声を上げて笑い出した。



「紗凪、谷地さんは彼女の後輩マネージャー。女性だよ」


「……えっ」


「ふふ、はは……これも、今までみたいな贈り物だと思ってたんだね?これは違うよ、僕達の門出を祝ってくれた、幸せの白いハンカチだからね」


「幸せの……白いハンカチ?」


「そうだよ。ほら、その隅の花の刺繍。それ、谷地さんがやったんだって。花の名前は確か……アル……アル、何とかって花だよ。赤だと"幸福な日々"って花言葉があるんだとか」



おじいちゃんはそう言って、にこにこと満面の笑顔を顔に浮かべ、「懐かしいなぁ」と当時の結婚式に思いを馳せているようだった。







*

白いハンカチの記憶→←片割れのペンダントの思い出



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西谷彩香(プロフ) - ネーヴェさん» コメントありがとうございます!今回は……「宝物とは」的に書いていた気がします。案外綺麗にまとめられたんじゃないかなと……!これからも色んな作品を書いていきたいと思ってます、よろしくお願いします! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ネーヴェ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほかの小説とはまた違う独特の世界観ですごい感動しました。ここまで色々な人に愛されてきた夢主さんは幸せだったと思います。これからも応援してます!頑張ってください! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 39a6bf43e1 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます!楽しく書いていた作品をそうして言っていただけるのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後は泣きそうになってしまいました← いいお話をありがとうございました(?)! (2018年12月20日 6時) (レス) id: 97574853b7 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます!きっと誰も、"過去"に"後悔"はありません。そんな、それぞれの道に進んだ誰かを書きたかった。楽しかったです。これからも色んな話を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします! (2018年12月19日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/  
作成日時:2018年11月20日 1時

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