片割れのペンダントの記憶 ページ25
*
「水族館?」
「そ。チケット貰ったんだよ」
「いいね、私ちっちゃい頃何度か行ったっきりだったよ、この水族館。まだやってたんだ」
「知ってんだ?てか、行ったことあったのかよ」
「あー、うん。幼馴染とね。家族ぐるみの付き合いで、偶にだけど」
「幼馴染なー……なーんで俺が幼馴染じゃなかったんだろ」
「何でそうなるの」
「そりゃさぁ、羨ましいなーとか……あー、オモッテマセンケドー?」
「過去の思い出にまで嫉妬はめんどくさいな」
「結構ストレートな物言いするよなお前」
大学2年の秋。
私の指に、月島がくれたあの指輪はない。
そして今、私の隣にいるのも月島じゃない。
彼は二口堅治。大学の同級生だ。
「それにしてもマジ世間が狭すぎてビックリだったわ、まさか同じキャンパスに烏野のマネがいるなんてさ」
「それはそうだね。と言うか、良く覚えてたね」
「……まぁ、な」
二口との出会い、基再会は今年の春。
大学のキャンパスで偶然すれ違った時に、「烏野の……!」と呼び止められたことがきっかけだ。
今年の春と言えば、私が月島と別れて割とすぐの時期だった。別にお互いに不満があったとか、嫌いになったとかではない。ないけれど、月島が言っていた。
「僕はセンパイが好きだけど、センパイのために夢を捨てることは出来ません」と。
あの月島が、「夢がある」と言った。私はそれを応援したいと思った。だから私は「それなら仕方ないね」って、「頑張って」って、そう返した。
……私は確かに月島を好きになっていた。だから、寂しいと、そう思ったけれど。
それが月島の選択だと言うのなら、年上の、"センパイ"の私が喚くのは、みっともないなって。だから、追いかけなかった。
そんな多少の傷心状態でいた時に、二口と再会を果たし、今に至る。
仲の良い男友達。気兼ねなく話せる相談相手。
「つーか、半年近く経つけどいい加減振り切れたのかよ?あの烏野のメガネくん」
「あぁ、月島?もう大丈夫だよ。……ちょっと胸は痛いんだけど、ほら、月島はもう思い出だから」
「ふーん……思い出、ねぇ」
二口は意味深にそう呟いた。
「何?」と返せば、二口はへらりと笑って「べっつにー」と歩いて行った。
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西谷彩香(プロフ) - ネーヴェさん» コメントありがとうございます!今回は……「宝物とは」的に書いていた気がします。案外綺麗にまとめられたんじゃないかなと……!これからも色んな作品を書いていきたいと思ってます、よろしくお願いします! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
ネーヴェ(プロフ) - 完結おめでとうございます!!ほかの小説とはまた違う独特の世界観ですごい感動しました。ここまで色々な人に愛されてきた夢主さんは幸せだったと思います。これからも応援してます!頑張ってください! (2018年12月20日 15時) (レス) id: 39a6bf43e1 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - 蜜柑さん» コメントありがとうございます!楽しく書いていた作品をそうして言っていただけるのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年12月20日 13時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
蜜柑(プロフ) - 完結おめでとうございます!!最後は泣きそうになってしまいました← いいお話をありがとうございました(?)! (2018年12月20日 6時) (レス) id: 97574853b7 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - ぴのさん» コメントありがとうございます!きっと誰も、"過去"に"後悔"はありません。そんな、それぞれの道に進んだ誰かを書きたかった。楽しかったです。これからも色んな話を書きたいなと思っているので、よろしくお願いします! (2018年12月19日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年11月20日 1時