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オムライスを食べ、食後に紅茶飲んで。
普通に友達とよくやるような、なんか休日のあれ。いいじゃんこれ。てか菅原良い奴。一緒にいて楽だし楽しい。
……けど、なんか分かった気がするんだよなぁ。
カフェを出て、のんびりと歩いていると空き地が見えた。
宮城じゃ何ら珍しくない、よくある場所。
菅原は「懐かしいなー、昔よくこういうとこで遊んだ!」と空き地にパタパタと近づいた。
それからくるりと振り向いて、へらりと笑った。
「俺、ちっちゃい頃外で遊ぶの好きでさ。近所の友達とよく走り回ってた」
「は?」
「まぁまぁ足も速くて、割とモテてたと思う」
「あるある。小学生特有の足速いだけでヒーロー」
「俺典型的なそれだったんだよ。意外だべ?」
「意外。インドア派だと思ってた」
「あはは、よく言われる。でも結構アウトドア派なんだ」
菅原はゆっくりと私に近づきながら言う。
「中学に入って、バレー始めた時にさ。小学生の時まではヒーローだったけど、俺よりも上の奴がいっぱいで、すぐ埋もれて」
「……へぇ」
「基礎は出来た。でも、俺はそこまでだった」
「……ふぅん」
「高校に上がって、3年になって、影山が入って来て。どんなに頑張っても天才には敵わないって、思い知って」
「……まぁ、それは分かる気がする」
「青城もさ、皆強いじゃん。ウシワカだって、皆」
「そーだね」
「……俺、手の届かないものは諦めて来た。どうせ手に入らないなら、足掻いたって無駄だって。……でも、峰口は諦めないって決めた!……それはまぁ、でも、峰口からしたら迷惑、かもしれないけど」
何とも答えにくい質問だな。
そう思いながら、「まだ何とも分からんがな」と呟く。
菅原は、あはは、と笑って「じゃあ、まだ俺にもチャンスある?」と言う。
チャンスも何も、何てか、……同じラインだよなどう考えても。
「菅原、私は___」
とりあえず今んとこの本音ぶちまけようと口を開いたその時だった。
「あー!先輩っ偶然ですねーっ!?」
「ほんとだ、まさかまた会えるなんて。宮城だって広いのに凄い偶然だ」
「なんつー白々しさだよ。そして偶然を強調するな新見兄妹」
菅原へと向けて言おうとしていた言葉は喉の奥に引っ込み、代わりに出たのはそんな言葉だった。
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西谷彩香(プロフ) - 雄里さん» コメントありがとうございます!こんなに兄弟出したの初めてでした、と言うか何故私はこんなに沢山出してしかも全員シスコンにしちゃったんだろうか。永遠に謎ですね。書いてて楽しかったものが誰かに楽しんで貰えたのは嬉しいです!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - うー太郎さん» コメントありがとうございます!意外にも見返したら登場人物が多くてラスト一体どうしよーと悩んだ結果あれです、でも割と出せたぜやったね。次回作は別のジャンルの可能性高いのでアレですが!ありがとうございました! (2018年11月15日 23時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
雄里(プロフ) - 完結おめでとうございます。初めからずっと見させていただきました!本当に面白く切ない作品でした。特に好きなところは兄弟全員がシスコンというところです()次の作品も楽しみにしています! (2018年11月15日 23時) (レス) id: e6aa9e061e (このIDを非表示/違反報告)
うー太郎(プロフ) - コメント投稿した直後に更新されたのでし直し!新見でてきた〜嬉し(’-’*)♪ラスト峰口ちゃんらしくて良きです!面白い作品をありがとうございます!これからも期待してまっす (2018年11月15日 23時) (レス) id: c8812ff913 (このIDを非表示/違反報告)
西谷彩香(プロフ) - shinox2さん» コメントありがとうございます!ううむ、今回で終わりの予定が長引きそうな気がしてきたぞ……兄弟たちのことは間違いなく入れないと「なんで?」のまま終わってしまう……!何とかねじ込みます(笑)ラストまで是非お付き合いください! (2018年11月14日 7時) (レス) id: 5f1947d42c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:西谷彩香 | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/kunimi251/
作成日時:2018年10月21日 13時